中日本高速道路管轄の休憩施設、ゴミ箱監視をIoT化 目視巡回を削減し回収業務を効率化

2025年12月9日18:31|ニュースCaseHUB.News編集部
x
hatebu

 中日本高速道路(NEXCO中日本)管轄の休憩施設において、積水樹脂が提供する堆積量管理サービス「Smart Level」を活用して、ゴミ箱の堆積量の遠隔監視を実現した。12月9日、積水樹脂が発表した。清掃員による目視巡回を減らし、ゴミ回収業務の効率化や省人化につなげる狙いだ。検証の結果、最適なタイミングでの回収作業が可能になることが確認されている。

 昨今、労働人口の減少や働き方改革を背景に、現場業務の省人化や省力化が求められている。高速道路の休憩施設におけるゴミ回収業務では、従来、「エリアキャスト」と呼ばれる清掃員が定期的に各ゴミ箱を巡回し、目視で堆積状況を確認する必要があった。そのため、移動や確認作業に多くの工数を要していたほか、担当者の経験により回収のタイミングにばらつきが生じるといった課題があった。

 今回活用されたSmart Levelは、センサーと無線通信を用いてゴミの堆積量をデータ管理するサービス。センサーが検知したデータはWebブラウザを通じてパソコンやスマートフォンから確認できるため、専用アプリのインストールなどは不要。センサーは電池駆動式で電源工事も必要ない。数値データで堆積量を可視化することで回収判断の基準を統一できるほか、一定量に達した際に関係者へ通知する機能や、データをCSV形式で保存して傾向分析に役立てる機能などを備えている。

 有効性の検証は、中日本高速道路が管轄する東海北陸自動車道および東名高速道路の休憩施設計9カ所で実施された。2カ月間にわたり87台のセンサーを設置し、ゴミの種類ごとの検知精度や回収確認頻度を調査した。その結果、空き缶を除くゴミ種において90%から100%の検知精度を確認した。また、データ取得によって現状の回収作業を分析したところ、従来はほとんどのゴミ種において、回収目安となる量に達する前に回収作業を行っていたことが判明した。Smart Levelの導入により、最適なタイミングで作業を行うことが可能になり、清掃業務の効率化が図れる可能性が示された。

251209_nexco.png
センサーを用いた堆積管理システムのイメージ

 積水樹脂は今後、高速道路の休憩施設での導入普及を進める方針だ。ゴミの堆積量が一定値を超えた際にアラートを発出し、それに基づいて回収作業を行う仕組みへ移行することで、作業スケジュールや人員配置の最適化を支援する。また、工場における廃棄物管理や、駅、空港といった他の公共空間など、見回り工数が発生しているさまざまな領域へも展開し、現場の生産性向上に貢献したい考えだ。

ニュースリリース