宇部マテリアルズ、知財管理サービス「IPeakMS」導入で業務効率化を実現

2024年11月12日17:34|ニュースCaseHUB.News編集部
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 宇部マテリアルズは、知財管理業務の効率化を図るため、東芝デジタルソリューションズが提供する知財管理サービス「IPeakMS」を採用した。2024年9月、東芝デジタルソリューションズが発表した。

 宇部マテリアルズは、高品質の石灰石を原料としたカルシア関連製品や、海水から取り出したマグネシウムを原料としたマグネシア関連製品などを供給する特殊無機材料メーカーだ。同社独自技術によるファイン事業製品は最先端産業で幅広く活用されている。

 同社の知的財産に関わる業務は、企画開発本部 企画部 知財グループが一手に担っている。特許や商標、実用新案に関連した各種管理業務を行い、特許査定率は90%前後で推移している。近年は知財情報を経営戦略に生かすためのIPランドスケープへの取り組みも進めており、情報の集約化・高度化によって知財情報から新たな開発テーマの発見を目指すなど、ビジネスに貢献する知財部門への変革を進めている。

 宇部マテリアルズでは従来、グループ会社共通のシステムで知的財産の情報管理を行っていた。しかし、ビジネス環境の変化により、知財情報を自社で運用管理する必要に迫られた。従来のシステムは、グループ会社全体の情報を網羅する管理項目が膨大にあり、利用しない項目を削ることも難しく、1画面に必要な情報が表示できない、自社側での検索機能がないなどの課題があった。また、メンテナンスが多く、利用時間帯が限られることがあるなど運用上の課題もあった。旧システムで管理できない部分は別途一覧表のデータベースを作成して補うしかなく、二重管理による手間と入力ミスなども懸念事項だった。

 より戦略的な知財管理を目指し、新たなシステムの導入を決めた。新たなシステム選定では、業務の棚卸を実施し、何を管理したいかを明確にして、どのようなシステムが必要かを検討した。同時に社内における紙で実施していた業務をシステム化するなど、省力化やペーパーレスにつながる環境づくりを目指した。また、秘匿性の高い情報を多く扱うため、詳細なアクセス権が設定できるなどセキュリティ面も考慮しながら、運用管理の負担軽減のため、クラウド環境で利用できることも条件となった。

 東芝デジタルソリューションズのIPeakMSは、高い柔軟性を有しており、既存運用や独自規定を変更せずに導入できる点が評価された。また、将来的な社内手続きの変更にも対応できる点も高く評価した。クラウド環境にて利用でき、コストパフォーマンスが高い点も魅力だった。

 IPeakMS導入の最大の決め手が、東芝デジタルソリューションズの対応力だった。「やりたいことを伝えていろいろな質問をしたところ、『できません』とは1度もおっしゃらなかった。もちろん、すべてがそのまま実現はできないものの、都度違うアプローチでの代替案を提示していただけたのが大きかった」と、企画開発本部 企画部 知財グループの山内麻美氏は振り返る。知財管理における業務に精通しており、要望をしっかりと汲み取って最適な提案があったことが何よりも力強かったという。

 IPeakMSは、知財グループや事業部門のメンバーなど70名ほどが利用している。また、外部の特許事務所との連携も行われており、関連書類の一元管理も実現している。IPeakMS導入により、年間で100時間以上の業務時間削減効果があり、特に保有する知的財産の維持管理・調査にかかる工数を4分の1にまで圧縮している。事業部門においても利用されており、知財情報や特許の相関関係が可視化されたことで、業務効率化に貢献している。

 企画開発本部 企画部 知財グループリーダーの末永綱一氏は、「知財の積極的な活用に向け業務量は増えていますが、IPeakMSで設定したフロー通りに進めていけば基本的なことはできるようになっています。新たに知財手続きに関わる社員への説明もシンプルにできるようになったのは大きい」と評価する。

 今後は、ワークフローのさらなる追加や日々のルーチンワークに関する自動化、帳票作成の効率化など、IPeakMSの機能をフル活用し実現していきたいという。また、自社が保有する特許の価値評価の際に、蓄積されたデータを利活用していくことも視野に入れている。

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