大和電化工業所は、製造現場での点検業務のデジタル化を目的に「カミナシ レポート」と「カミナシ 設備保全」を採用した。6月9日、同サービスを提供するカミナシが発表した。日常点検記録のリアルタイム化とアラート機能の活用により、管理者の点検確認時間を約30分から約5分へと短縮したほか、ISO継続審査や取引先からの監査での評価を向上させた。今後は設備情報を蓄積し、属人化からの脱却に向けた業務の標準化を目指す考えだ。
愛知県大府市を拠点とする大和電化工業所は、自動車部品の表面処理や樹脂成形を手がけるサプライヤーだ。従業員数は約250人で、そのうち約50人を外国籍スタッフが占めている。厳格な品質基準が求められる中、同社は長年にわたり各製造ラインの日常点検を紙の帳票で行っていた。しかし、メッキ加工を行う横根工場では1ラインあたり十数枚、合計30枚を超える紙帳票が毎日発生し、管理者が細かい数値を全て確認することは事実上不可能な状態に陥っていたという。そのため、規格外の記録が数日後まで見過ごされ、不適合品が出荷されるリスクも抱えていた。
現場の作業者も広大な工場内を行き来しながら手書きで点検項目を記載する必要があり、多大な時間を要していた。さらに月末の帳票張り替えや回収作業などに半日を費やしており、業務負担が大きかった。こうした中、ISO継続審査で帳票の記録不備を指摘されたことを機に、点検業務の効率化と正確な記録を担保すべく、デジタル化を決断。同業他社での導入実績を重視し、現場向け帳票システムのカミナシ レポートを採用した。
2024年1月に横根工場から運用を開始し、その後、樹脂成形を行う東浦工場にも活用範囲を広げた。スマートフォンやタブレットを使って点検場所で直接入力できる環境を整えたことで、現場の点検移動時間は約半分に減少した。さらに、使用材料のロット番号を写真で記録することで、外国人従業員にも分かりやすい確実な管理体制を構築し、帳票の付帯作業も不要になったとしている。
管理面でも大きな効果が表れている。点検で規格外の数値が入力されると即座に管理者へ逸脱アラートが通知される仕組みを構築し、異常の早期発見と即日対応が可能になった。管理者の確認作業も異常箇所のみをシステム上で確認すれば済むようになり、従来約30分かかっていた作業が約5分に短縮された。こうした記録の即時性や正確性はISO継続審査や取引先の監査でも高く評価されており、企業の信頼性向上という経営成果に結びついているという。
東浦工場では、設備ごとに関連情報を可視化・一元管理できる設備保全システムとしてカミナシ 設備保全の活用も本格化させている。33台の成形機と130を超える金型のメンテナンス記録を一元化し、ベテラン担当者の経験に依存していた設備保全ノウハウの標準化に着手した。写真や動画を用いて誰もが過去の記録を参照できる体制を整備し、属人化の解消を進めている。
カミナシシリーズの導入を主導した取締役事業部長の山下大介氏は、「一番叶えたかったのは、現場の従業員に生じる無駄な苦労やストレスをなくすことだ。スマートフォンを持ってその場で入力できる環境は、記録の正確性を担保するだけでなく、現場のやる気を引き出す仕組みでもある」とコメントしている。