静岡県裾野市は、クマの出没情報を迅速に可視化して住民の安全を確保することを目的に、トヨクモのkintone連携ツール「FormBridge」と「kViewer」を採用した。6月9日、同サービスを提供するトヨクモが発表した。庁内に専門のエンジニアは不在だが、両ツールと生成AIを活用し、検討を開始した当日に情報公開システムを構築、公開した。現場の業務負担を軽減しつつ情報発信の即応性を高めており、今後は提供データのオープンデータ化による二次利用も視野に入れる。
近年、全国各地でクマの出没が相次いでいるが、裾野市でも出没情報が多く寄せられるようになった。当初は情報が入り次第、市の職員が手作業でWebページを更新して発信していたという。より即応性の高い仕組みづくりが課題だったが、緊急性が高い一方で、専用のシステムをゼロから独自開発するには多大な期間と費用がかかるため、コストを抑えつつ、確実な情報共有の仕組みを短期間で構築する方法を検討していた。
同市は最終的に、専門のエンジニア職員がいなくても運用可能な手法として、FormBridge、kViewerと生成AIを組み合わせるアプローチを選択。検討開始当日に初期バージョンを公開し、直後に発生した出没事案にも素早く対応する体制を確立したという。
新システムでは、現場の職員がスマートフォン上の地図をタップするだけで緯度と経度を自動取得できるプログラムを生成AIで作成し、入力フォームであるFormBridgeに組み込んだ。これにより職員の入力作業を省力化し、情報をより迅速に発信できるようにした。入力されたデータは、kintoneのデータベースに即時登録される。裾野市はセキュリティの観点から外部からkintoneへの直接のアクセスを制限しているが、FormBridgeをフロントエンドとして挟むことで安全なデータ登録を実現したという。さらに、蓄積したデータはkViewerのAPIを介し、市が内製したWebサイト上の「クマ出没情報地図クマップ」に自動で連携し、公開される仕組みだ。
今後は、行政運営の透明性向上とさらなる市民の安全確保を目指し、このAPIをオープンデータとして提供することを検討している。全国規模の野生動物情報サービスや民間事業者のアプリ開発者がデータを二次利用できる仕組みを整え、情報の到達範囲を広げて市民の防災意識向上につなげる考えだ。