宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2023年12月、NECの惑星分光観測衛星「ひさき」の運用の完了を発表した。2013年9月の打ち上げ以降、10年3ヶ月にわたり惑星観測運用と停波運用の支援を行い、同衛星の運用を完遂したと報告した。
「ひさき」は、2013年9月14日にイプシロンロケット試験機で打上げられ、搭載したEUV(極端紫外線)分光器により火星・金星や木星等の超高層大気の観測を続け、火星の大規模な砂嵐時の観測から示唆される火星生命環境の知見の獲得や木星磁気圏観測からなされたスペクトル診断による粒子加速メカニズムの理解など、数々の科学的成果を創出した。2023年12月8日に停波運用を実施、その後停波の確認を行い、全ての追跡業務を終了したことになる。
NECは、「ひさき」の衛星システム設計・製造、運用支援等を担当し、「ひさき」に初めて採用された小型科学衛星用の標準バス開発を行った。設計寿命の1年をはるかに超える10年間にわたり、高い指向精度が求められる惑星分光観測において、この標準バスは数々の科学的成果の創出を支え続けた。その後、標準バスはジオスペース探査衛星「あらせ」にも採用され、NECが「あらせ」の衛星システム設計・製造等も担当する。
NECの「ひさき」プロジェクトマネージャー川口昭良氏は、「このたび無事に停波運用を終えることができた。また、10年を超える運用期間において多数の国内外衛星との協調観測を含めて、ひさきの惑星観測を支え続けることができ安堵している」と述べている。
ニュースリリースURL
https://jpn.nec.com/press/202312/20231218_01.html