ヤオコー、監視ツール統合と業務効率化のためにオブザーバビリティプラットフォームを活用

2025年6月11日03:39|ニュースCaseHUB.News編集部
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 ヤオコーは、社内インフラの監視体制強化と業務効率化を目的に「New Relic」オブザーバビリティプラットフォームを採用した。6月9日、New Relicが発表した。

 埼玉県を中心に1都6県へ店舗展開するヤオコーは、創業135周年を迎え、36期連続で増収増益を達成するなど、業界内でも高い成長を遂げている。こうした成長の背景には、DX推進の一環としてAWSクラウドへの移行やシステム開発の内製化、AIによる自動発注システムの全店舗導入など、先進的な取り組みがある。一方で、クラウド化やシステムの内製化が進む中、システムごとに監視ツールが乱立し、統合と効率化が課題となっていた。また、従来のインフラ起点の監視だけでなく、ECやモバイルアプリ、店舗従業員向けシステムなど、ユーザー体験を起点としたエンドツーエンドの観測体制の構築も求められていた。

 ヤオコーは、監視ツールの統合とユーザー体験を起点とした観測の双方を実現できる点を評価し、New Relicの導入を決めた。まず社内全体のAWSクラウド基盤にNew Relicを展開し、インフラの観測データ収集やアラート体制を整備した。システム状況を社内関係者に分かりやすく共有するダッシュボードも構築し、運用を開始している。これにより、リアルタイムでのデータ観測や、障害発生時の迅速な原因特定と対応が可能となり、一定の効果が認められている。

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店舗の業務支援アプリの使用状況を可視化したダッシュボード

 ヤオコーのデジタル統括部長 兼 CDO 小笠原暁史氏は「New Relicの活用により、社内に乱立していた監視ツールを統合し、システム全体を可視化する基盤づくりに着手した。今後はネットワークやアプリケーションのパフォーマンス監視を拡大し、クラウド基盤から店舗デバイスまでエンドツーエンドで監視できる環境を整備する。障害ポイントの早期発見・予測が可能になり、店舗運営の安定化と顧客サービス品質の向上につながると考えている」と述べている。また、プロダクト開発クラウドチームの飯久保友哉氏は「社内データを統合的に活用した全体監視や予兆の可視化など、個別サービスでは難しい課題を解決するプラットフォームがNew Relicだった。今後は部門全体でモニタリングと分析を進め、障害時にも簡単に状況把握できる体制を目指す」としている。

 今後ヤオコーは、クラウド基盤上で稼働する店舗向けシステムをはじめ、受発注や在庫管理など店舗運営業務を支えるシステムへのNew Relic導入を拡大する。店舗からのエラー問い合わせ前に運用部門が問題を把握し、迅速な対応を可能にする体制を構築するほか、システム障害発生時には他店舗への影響範囲を特定し、対応範囲を迅速に切り分けることも検討している。これらの取り組みで、店舗業務の生産性向上と顧客の買い物体験向上を目指す。

ニュースリリース


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