JCB、基幹システム内のデータ利活用を強化し、新サービス提供を加速

2024年9月9日08:45|ニュースリリース公開日 2024年6月12日|ニュースCaseHUB.News編集部
x
hatebu

 JCBは、基幹系システム内のデータを迅速に利活用したシステム資源の最適化を目指し、データコアサービスの実装プロジェクトを開始した。日本IBM、TISが、6月12日に発表した。JCBは新システムにより、最新データに基づいた新規サービスの提供や、開発生産性の向上、周辺システムとの接続の簡易化を通じて、顧客への価値創出を加速させる。

20240612_jcb.png
新システムの概要イメージ

 JCBは、日本IBM、TISと共同で、2023年12月末まで、メインフレームの基幹系システムに含まれるデータをほぼリアルタイムでデータコアサービスへと連携する実証実験と、データコアサービス上でのローコード開発や開発自動化プロセスに関する実証実験を実施した。実証実験では、日本IBMのデジタル・インテグレーション・ハブ(DIH)アーキテクチャーを採用し、「IBM InfoSphere Data Replication」により既存のメインフレームの業務処理への影響を最小限にとどめながら、基幹系システムの元帳にあるデータをほぼリアルタイムで抽出した。

 データコアサービス上に配置した「Apache Kafka」によるデータの連携、保存と、日本IBMの開発効率化アセットとの統合によるデータ加工のストリーミング処理、同アセットによる接続インターフェースの効率的なAPI化を実現した。このアーキテクチャーにより、コマンドクエリ責務分離(CQRS)を図りメインフレームの処理負荷低減と、基幹システムの開発と比較して20%~30%の開発生産性向上と周辺システムとの接続の簡易化が可能という結果を得た。

 この実証実験の成果を踏まえ、JCBとTIS、日本IBMは2024年3月よりシステムの本格展開に向けたシステム化要件定義に着手し、2024年度内の稼働を目指す。

 JCBは、データコアサービスの実装により、従来のバッチ型データ送信ではなく、分散システム環境のデータコアサービスに向けて基幹システムの更新情報をほぼリアルタイムでの連携を可能にする。データコアサービスでは、安全性は堅持した上で、Apache Kafkaイベント連携により、従来のバッチ型アーキテクチャーの脱却を可能にする、イベント駆動アーキテクチャーを提供すると共に、API連携により周辺システムとの接続容易性を向上させる。

 さらに、コマンドクエリ責務分離により現在基幹システムにて実現しているデータ連携機能を周辺システム向けに提供することで基幹システムの負荷低減を図る。また、クラウドネイティブな技術要素と、日本IBMの展開する開発効率化アセットを活用し、データコアサービスで展開するAPI開発の生産性向上を実現する。

 TISはJCBとともに実証実験環境を構築し、データコアサービスの拡張性や実効性の評価を行うとともに、同環境における開発効率化の効果や接続期間の短縮効果の試算を行った。プロジェクト計画以降も引き続きメインベンダーとして、これまでの基幹システム開発実績を活かしデジタルコアサービス実装支援を行うことで、JCBの経営課題の解消に貢献する。

 日本IBMは、メインフレームのソリューション最新化とオープン基盤やクラウド基盤などのマルチ・プラットフォームに対応したソリューションを統合した「次世代勘定系ソリューション戦略」とロードマップに基づき、基幹システムのデータをデータコアサービスに連携するDIHアーキテクチャー案の策定やIBM InfoSphere Data Replication、開発効率化アセットなどの要素技術に対する技術支援を行う。 

ニュースリリース