JR北海道、Nutanix Cloud Platformで業務基盤を統合しコスト・運用負荷を軽減

2025年5月1日16:39|ニュースCaseHUB.News編集部
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 北海道旅客鉄道(JR北海道)は、鉄道事業・開発事業の維持と需要拡大への対応のために、システム統合基盤として「Nutanix Cloud Platform」を採用した。4月16日、ニュータニックス・ジャパンが発表した。

 北海道は全国でも特に人口減少や少子高齢化が進む地域であり、JR北海道では鉄道オペレーションの担い手となる人材確保が大きな課題となっている。こうした事業環境の中、同社は業務の効率化と省力化を進めるため、全社的な無線LAN化やRPAの導入、生成AIの活用検討、デジタル推進リーダーの育成など、積極的なDX施策を推進している。

 従来、JR北海道の業務システム基盤は3Tier構成で、主管部ごとに個別に構築・運用されていた。このため機器の集約率が低く、重複投資や不要なリソースの抱え込み、運用管理の手間増大といった課題が顕在化していた。こうした背景から、2019年より主管部の垣根を越えた共通基盤の構築に着手し、高い集約率を実現するためにNutanix Cloud Platformを導入し社内で「IaaS'20」と呼ぶシステム統合基盤を構築、コスト削減と運用のシンプル化、負荷軽減を図った。

 Nutanix選定にあたりJR北海道は、重要インフラ事業者としての安定性や導入実績を重視した。マルチクラウドの統合プラットフォーム分野で先駆的なNutanixの優位性と信頼性を評価した。また、従来の3Tier構成と比べ、サーバーノードの追加のみで拡張できる柔軟性や、運用管理対象の大幅な削減による持続可能な保守体制の確立もメリットがあると判断した。

 ハードウェアには北海道に保守拠点を持つHPEを、ソフトウェアには統合環境構築の実績が豊富なNutanix Cloud Platformを採用した。現在はオンプレミスの統合基盤上で約200台の仮想サーバーが稼働しており、鉄道オペレーションや保線、RPA、人事などのコア業務アプリケーションを支えている。同社がオンプレミスにこだわる理由は「万が一クラウドサービスが停止した場合にそれを鉄道運行の停止理由として説明できないから」だと、JR北海道 情報システム部長の福士 明氏は説明する。

 導入効果として、コスト削減や運用負荷の低減だけでなく、基盤の安定稼働と性能面での十分な実績が挙げられる。福士氏は「IaaS'20でNutanixを導入してから5年近く経つが、性能問題等が発生することなく安定稼働を続けており、汎用的なx86サーバー上でNutanixが提供する分散ストレージでも性能的に十分であることを確認できた」と述べている。

 今後の展望として、まず直近は「脱VMware化」に向けたNutanix AHVの採用に向けたPoC(概念実証)を進める。また、世代リプレースのサイクル短縮や、主管部がアプリケーションを公開したいタイミングに合わせリソース提供が可能な体制の整備を目指す。さらに、グループ会社への共通基盤展開や、Nutanix Kubernetes Platformによるクラウドネイティブ推進、生成AIの運用やAIアプリケーション開発の簡素化など、DXを加速する取り組みも想定している。

ニュースリリース


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