JR貨物、VR学習システムで安全教育を刷新 現場の「危険」を疑似体験し能動的な学びへ

2026年1月13日16:41|ニュースCaseHUB.News編集部
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 日本貨物鉄道(JR貨物)は、現場の安全教育を強化することを目的に、ビジネスエンジニアリングが提供するVR学習システム「mcframe MOTION VR-learning」を採用した。1月13日、安全教育のDX推進を支援するビジネスエンジニアリングが発表した。現場動画を活用したVR教材の自社制作と配信環境を整備したことで、実体験が困難な事象の疑似体験を可能にし、受講者が自ら考え判断する能動的な学習環境を実現した。現在は全国の貨物駅管理者を対象に2カ月に1本のペースで新作教材を投入しており、今後は全社員への教育対象拡大を目指す。

 JR貨物は、日本全国で貨物鉄道事業を展開する。鉄道輸送は一度の事故が重大な人的・物的被害に直結するため、同社は安全を事業の根幹に据えている。しかし、フォークリフトによる荷役と車両点検が混在する複雑な貨物駅構内において、従来の集合研修や動画視聴のみでは、実際の現場が持つリアルな危険性を実感しにくいという課題があった。また、講義形式の受動的な学習では現場での行動力に結びつきにくく、100カ所を超える全国の拠点での受講実績を正確に把握することも困難だった。

 こうした課題の解決に向け、JR貨物は現場の360度映像を用いた教材を自社で容易に制作・配信できるmcframe MOTION VR-learningを選定した。360度カメラで撮影した実際の作業環境を教材化することで、静的な研修では得られない臨場感を実現できる点を評価。さらに、映像に設問を組み合わせることで、未経験の業務でも自ら判断を繰り返す「能動的な学習」を促せることや、ダッシュボード機能で全国の受講状況を一元管理できる点が決め手となった。

 導入後は、グループ会社に委託している荷役作業など、駅管理者が自ら経験する機会の少ない業務についてもVR教材で補完。実際のルール違反を再現した映像から誤りを見つけ出すといった実践的な教育を通じて、現場の危険に対する「安全の目」を養う効果が出ている。また、PCやタブレットへの配信により、24時間交代制で勤務する社員が各自の都合に合わせて学習できる環境を構築。指導者の負担軽減と、確実な教育実施の両立を可能にした。

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360度動画教材の画面例

 JR貨物鉄道ロジスティクス本部運輸部駅業務グループの辛島有紀氏は、「自社で撮影から配信まで完結できるようになったことで、年間で多数の教材を提供可能になった。臨場感の高いVR教材が、経験のない作業への理解を補ってくれる。駅管理者の安全に対する知見を高めることで、事故防止に大きく貢献できると期待している」と語る。同社は今後、教育計画に基づき教材ラインアップを拡充させるとともに、現場社員への展開を加速させ、全社的な安全意識のさらなる底上げを図る。

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