JTBは、国内外のグループ計54社にわたる財務会計システムを統合し、グローバルでデータを一元管理できる経営基盤を構築した。システム基盤には、日本オラクルが提供する「Oracle Fusion Cloud Applications」を採用した。3月26日、導入を支援した日本アイ・ビー・エム(日本IBM)、日本オラクル、TISが発表した。新システムの活用により、経営情報の適時性と正確性を向上させ、事業ポートフォリオ転換などの迅速な意思決定につなげる。
JTBグループでは従来、財務会計システムが国内の拠点や法人ごとに分断されたサイロ状態にあり、データが分散していた。情報の収集や分析に多大な手作業を要していたほか、事業システムとの連携も制限されていたため、急激な事業環境の変化に即応できないことが課題となっていた。また、同社が長期ビジョンで掲げる、事業の中心を国内から海外へシフトする構造改革を支えるため、強固な財務情報基盤の構築が急務となっていた。
こうした課題を解決するため、JTBは財務会計システムのクラウド化を決定した。2025年4月に国内の主要23社へ導入し、2026年1月には海外の31社へ展開を広げた。選定にあたり、Oracle Fusion Cloud Applicationsの標準機能を最大限に活用する「Fit to Standard」の方針を徹底した。実際に、同製品が備える標準機能の95%をカスタマイズすることなくそのまま適用し、各社で個別最適化されていた業務プロセスの標準化を断行した。
システム構成では、OracleのCloud ERPに加え、TISの経費精算システム「Spendia」と、事業システムとの柔軟な連携を可能にする「会計処理エンジン」を組み合わせた。これにより、事業の多角化にも耐えうる柔軟なシステム群を実現している。プロジェクト全体は、JTBのデジタル変革パートナーである日本IBMが統括し、日本オラクルのコンサルティング部門やTISと連携してアーキテクチャー設計や標準化を支援した。
新システムの構築により、国内外のグループ業績や収益分析をリアルタイムで把握できる環境が整う見込みだ。多角的な分析による事業ポートフォリオ管理の強化に加え、業務の標準化によって属人化していた知見の偏りも解消される。運用面でも、グローバルで統一された保守体制の構築や一括バージョンアップが可能となり、大幅な効率向上が期待されている。
JTBは今後、2026年5月に予定している日本国内の支店会計システムの統合をもって、グループ全体の財務会計システムを完成させる計画だ。将来的には、蓄積されたデータの利活用やAI技術の導入を進め、財務業務のさらなる高度化を目指す。
JTB常務執行役員の黒田恭司氏は、グローバルで統一された強固な経営情報基盤の構築は、事業構造の転換を推進する上で重要な取り組みだったと振り返る。今回の導入により、リアルタイムでの業績把握と多角的な分析が可能になり、的確な意思決定を強力に支援するものと期待しているという。今後も最新技術を取り入れながら、長期ビジョンの実現に取り組んでいきたいとしている。