コクヨは、毎月100件を超える特殊な請求書発行業務の効率化を目的に、サイボウズのノーコード・ローコードツール「kintone」を採用した。9月4日、サイボウズが発表した。従来、手作業や転記作業に多くの時間を費やしていた当該業務の工数を92%削減することに成功した。今後は、現場主導での業務改善をさらに加速させ、事業変革につなげていく。
コクヨは文具やオフィス家具などを手掛け、ワークスタイルとライフスタイル両領域で事業を展開している。ECプラットフォーム「カウネット」などを中心とするビジネスサプライ事業本部では、テクノロジーを生かした事業変革を大きな方向性として掲げていた。この実現には、現場の業務改善をサポートするツールの整備が不可欠だと考えていた。
これまでの現場業務は、PC内に閉じたOfficeアプリケーションでの作業が中心で、情報が分散したり、プロセスが属人化したりするといった課題を抱えていた。また、社員がITを難しいと感じることなく、現場主導で業務改善に取り組めるような環境を求めていた。
こうした課題を解消するため、コクヨは複数あるノーコード・ローコードツールの中からkintoneの導入を決めた。選定理由として、ITの専門知識がなくても簡単にアプリを作成でき、現場主導で業務改善できる点を挙げている。また、クラウドサービスであるため、情報の分散化や属人化防止にもつながると評価した。
現在はビジネスサプライ事業本部に所属する社員の約7割にあたる260名がkintoneを活用し、90以上のアプリが業務に利用されている。中でも経理部門が特殊な請求書発行業務のために作成した「請求書発行アプリ」は、大きな業務効率化を達成している。
この請求書発行業務は、値引きやキャンペーンなど基幹システムでは対応できない特殊な処理を必要とし、従来は表計算ソフトの情報をダウンロードして他システムに転記する手作業が発生していた。kintone導入後は、現場からの申請を経理部門が承認し、kintone上で会計システム用のフォーマットに変換するだけで業務が完了するようになった。この結果、月100件以上の特殊な請求書処理にかかる工数が92%削減されている。
コクヨは、現場部門でのアプリ作成の成功体験が、プロセスを変えて業務効率化を実現するというマインド醸成にもつながっていると評価する。今後は「全社員をアプリ開発者にする」という目標を掲げ、ハンズオンセミナーの開催や、グループ社員への活用事例・TIPSの共有を通じて、kintoneの活用をさらに広めていく計画だ。
また、業務の中心となる基幹システムでカバーできない業務にkintoneを活用し、プロセスを可視化。そのプロセスを踏まえて基幹システムを含めたシステム全体を設計し直すなど、業務基盤全体の好循環を生み出すことも目指している。