小岩井乳業は、AI技術の活用を見据えたデータ基盤の再整備を目的に、アールスリーインスティテュートが提供する業務改善・システム開発サービス「キミノマホロ for kintone」を採用した。6月10日、アールスリーインスティテュートが発表した。10年以上活用を続けてきた「kintone」のガバナンスを上流工程から再構築することで、全社的なデータの最適化と運用の健全化を進める。
小岩井乳業は、生産性向上と価値創造を柱とするデジタル変革を推進しており、AI活用によって「人がやらなくてよい仕事をゼロにする」という目標を掲げ、2025年10月に専門組織「AI変革推進室」を新設した。しかし、長年運用してきたkintone内に多数のアプリが乱立し、データの所在や活用状況を正確に把握しきれなくなっていた。さらに、部署間でデータの定義や言葉の解釈が異なっており、AI活用の大前提となる全社的な共通言語が存在しないことが大きな課題となっていた。
こうした背景から、信頼できるデータ基盤の確立を目指してベンダー選定を進め、キミノマホロ for kintoneの導入を決めた。採用の決め手は、あらかじめ作業内容と料金が明確にメニュー化されている点にあり、プロジェクトの着地点と必要な予算を最初から把握できる安心感が評価された。また、すでに同社が利用していたkintoneカスタマイズツールのサポートを通じて、ベンダー側の技術力と丁寧な対応への信頼が事前に醸成されていたことも後押しとなった。
プロジェクトでは、単なるシステム開発の代行にとどまらず、ガバナンスルールの策定という上流工程から取り組みを開始した。ユーザー企業の強い事業方針を尊重しつつ、複雑になりがちなアプリ設計やルールの自由度と制限のバランスについて対等な立場で議論を重ね、現場の現実に即したルール設計を進めた。
現在はルールの骨子が固まり、社内ユーザーへの展開と定着を図るフェーズへと移行している。今後は運用に手間のかからない省力的な仕組みのもと、kintone上のデータをマスタとして厳格に管理し、部門間でのデータの点在を解消していく。
小岩井乳業デジタルICT戦略部AI変革推進室室長の川口賢一氏は、「設計のプロではない私たちの要望に対し、対等なパートナーとしてフラットに意見交換や耳の痛い指摘をしてくれた。将来的には、情報部門が作る人ではなくガバナンスの番人となり、現場が自律的に業務改善へ手を挙げるサイクルを作っていきたい」と語っている。