西海市が「kintone」と生成AIを全庁導入、年間2000時間以上の業務を削減

2024年12月20日19:22|ニュースCaseHUB.News編集部
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 長崎県西海市は、持続可能な自治体運営を目指し、サイボウズが提供するノーコード・ローコードツール「kintone(キントーン)」と生成AIを活用した取り組みを開始した。12月20日、サイボウズが発表した。西海市は、議会答弁書の作成補助や画像内の文字起こしなどの業務に生成AIを取り入れ、kintoneを生成AI活用の全庁基盤として採用し、年間で2000時間を超える業務削減を達成している。

 西海市では、当初一般用途向け生成AIを導入したが、答弁書作成等の特定分野に特化した回答の生成が難しく、職員が十分に活用しきれない状況だった。そこで、西海クリエイティブカンパニーが提供する自治体向けAIサービス「ばりぐっどくん」を導入した。ばりぐっどくんは、西海市が公開している過去の情報を追加学習できるため、西海市の業務に合った精度の高いアウトプットが可能となる。さらに、kintoneを全庁基盤とし、生成AIを活用するアプリケーションで利用しやすいUIを実現している。

 kintoneには両備システムズが提供する「R-Cloud Proxy for kintone」を利用して、LGWAN-ASPを経由してアクセスする。そのため、安全性の高い環境で利用できる。kintoneとばりぐっどくんを連携して、議会答弁書の作成補助、画像内の文字起こし、翻訳など、さまざまな業務に生成AIを活用している。

 議会答弁書作成では、kintoneで質問を入力し、「回答スタート」ボタンを押すだけで、過去の議事録などの公開情報を活用し生成AIが回答を返す。kintoneを介し生成AIが作成した内容を編集でき、kintoneのコメント欄を活用して他部署のメンバーとの情報共有やディスカッションも可能となっている。

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議会答弁_教えてばりぐっどくんの操作画面

 西海市が活用する生成AIアプリには、「議会答弁_教えてばりぐっどくん」、「ノーマル 教えてばりぐっどくん」、「要約ばりぐっどくん」、「翻訳ばりぐっどくん」、「音声文字起こしばりぐっどくん」、「画像文字起こしばりぐっどくん」、「議事録整形ばりぐっどくん」がある。

 kintoneを基盤とした生成AIの試験運用開始2ヶ月の時点で実施した全庁アンケートでは、57%の職員がログインし、合算で年間2072時間の業務削減効果が確認された。また、約9割の職員がkintoneと生成AIの有効性を実感していると回答しており、部署や役職によらず利用が広がっている。

 西海市さいかい力創造部情報推進課DX推進班課長補佐の熊本英哲氏は、「DXの重要性がますます高まる現代、持続的にむりなく自治体運営をしていくためには、生成AIやITツールの利用は必須だと考えます。生成AIと聞くとセキュリティ面の懸念が拭えないと思いますが、kintoneはLGWAN-ASPを経由することで自治体でも安全に利用できます。今後も生成AIとkintoneの組み合わせをうまく活用し、自治体業務の変革を推進してまいります」と述べている。

ニュースリリース