豊田自動織機の社内カンパニーであるトヨタL&Fカンパニー(トヨタL&F)は7月23日、富士通のAIサービス「Fujitsu Kozuchi」を活用して、フォークリフトの安全運転をクラウド上で評価するサービス「運転動画AI解析」を開発したと発表した。トヨタL&Fが提供する物流現場向けサービス群「FORKLORE(フォークロア)」で利用できる。
工場や物流倉庫など、人や物が行き交う場所で多く使用されるフォークリフトのオペレーターには安全運転が求められる。近年では、フォークリフト用ドライブレコーダーをオペレーターの安全運転評価に活用する企業が増えているが、記録映像の確認に膨大な時間がかかることや、評価のばらつきが課題になっていたという。
フォークリフトのトップメーカーであるトヨタL&Fは、製品の開発や販売だけでなく、データ活用にも取り組んできた。2021年には、物流現場のさまざまな機器をインターネットに接続し、稼働状況や使用状態などのデータをクラウド上で収集、蓄積、分析して顧客の現場改善をサポートするサービス群「FORKLORE」をリリース。ドライブレコーダーのデータを基にフォークリフトの稼働状況や記録映像をWeb上で閲覧できたり、フォークリフト用リチウムイオンバッテリーの使用状況を可視化できたりするサービスを提供する一方で、サービスラインアップの拡充にも取り組んできた。
今回開発した運転動画AI解析は、Fujitsu Kozuchiが提供する高精度の画像解析技術を活用したとしている。フォークリフトの旋回、走行や、フォークの動き、オペレーターの安全確認動作などを学習したAIが、ドライブレコーダーの映像をクラウド上で解析。安全を阻害する可能性があるオペレーターの操作のうち、「走行荷役同時操作」「後進時指差し確認不良」「前後進切替時一時停止不良」「急旋回」を自動検出する。検出した部分のみを抽出して閲覧できるほか、各オペレーターの操作の安全性を成績表の形で表示する。
顧客は運転動画AI解析を使うことで、映像確認時間を削減して安全運転評価業務を効率化できるほか、評価のばらつきも平準化でき、オペレーターの安全意識向上を促進できるという。また、富士通は将来的に、蓄積したデータを「Fujitsu Data Intelligence PaaS」のデータ分析機能で可視化し、さらなる付加価値創出を目指すとしている。