第一生命保険は、顧客との継続的な関係強化を目的に、LINEを活用したビジネスチャットサービス「BizClo」を採用した。12月19日、BizClo得お提供するMicoが発表した。営業担当者の変更時に生じていた顧客接点の喪失を防ぐとともに、デジタルを活用したきめ細かなサポート体制を構築した。導入から約7カ月でLINEの有効友だち数が約12万人に達するなど、顧客接点の拡大と業務効率化を実現している。今後はお客さま一人ひとりの状況に合わせたサービスの均質化や、事業成長への貢献を目指す。
第一生命は2022年度、生命保険業界で初となるカスタマーサクセス組織(CSM)を設立した。従来の対面営業に加え、デジタル技術を活用して顧客一人ひとりに寄り添う「途切れのないフォロー」を目指している。従来、顧客との連絡にはビジネス版のLINEを利用していたが、人事異動などで担当者が変わるたびに、顧客側で新しい担当者を「友だち」に追加し直す必要があった。この手続きの煩雑さにより、数%の顧客との接点が失われることが課題となっていた。
そこで同社は、担当者が変わってもつながりを維持できるLINE公式アカウントへの移行を決断し、その管理基盤としてMicoが提供するBizCloを採用した。採用にあたっては、LINE公式アカウントでありながら担当者個人のアイコンを設定できる「カスタムアイコン機能」を評価した。これにより、組織としてのアカウントでありながら、顧客に「一対一のサポート」という安心感を提供できる点を重視した。また、権限管理機能や操作性の高いユーザーインターフェース(UI)、サポート体制の充実も選定の決め手となった。
BizCloの導入により、デジタル接点は大幅に拡大した。2025年4月の運用開始から約7〜8カ月で、LINEの有効友だち数は以前の上限値であった約7万人から約12万人へと、約1.7倍に増加した。通知メッセージ機能を活用し、控除証明書や重要なお知らせをLINEで配信できるようになったことが、顧客とのつながりを広げる要因となった。
業務効率化の面でも効果が表れている。一斉配信やセグメント配信機能を活用することで、年末年始の挨拶など事務的な連絡業務を効率化した。これにより、CSMが個別の顧客対応に集中できる時間が増加したとしている。また、チーム連携も強化された。担当者が不在の場合でも、上席者や他のメンバーがトークルームを確認し、代理で連絡できる体制が整ったため、顧客を待たせることなくシームレスな対応が可能になった。双方向のコミュニケーションも活性化しており、川柳コンクールの話題などで顧客から温かい反応が寄せられるなど、エンゲージメントの向上にも寄与している。
第一生命 ビジネスプロセス企画部カスタマーサクセス企画課の高山裕基氏は、「目指すのは途切れのないフォローの実現だ。BizCloの導入で、担当者が変わっても顧客との関係が続く仕組みを構築できた」と話している。また、同カスタマーサクセス部カスタマーサクセス業務推進課の木下菜々子氏は、「チーム連携により、担当者不在時でも顧客を待たせない体制が実現した。事務連絡の効率化で捻出した時間を、顧客に向き合う時間に充てられている」としている。
今後は、蓄積されたデジタルデータを活用し、担当顧客数が増加してもサービスの品質を均一に保つ体制を強化する方針だ。顧客の行動変容やニーズを深く理解することで、顧客満足度の向上だけでなく、解約抑止や新たな保障提案といった事業成長につなげたい考えだ。