LIXIL、SAPの可視化で障害特定を迅速化 年間200時間の調査時間を削減

2026年3月29日11:49|ニュースCaseHUB.News編集部
x
hatebu

 LIXILは、営業フロントシステムと基幹システムの連携を可視化するため、New Relicのオブザーバビリティプラットフォーム「New Relic」を採用した。3月27日、New Relicが発表した。複雑なシステム間のパフォーマンスをリアルタイムで把握できる環境を整備し、問題の原因特定に要する時間を年間で約200時間削減した。今後はAIを活用した予測検知の高度化を進め、サービスの信頼性向上とビジネス損失の抑止を目指す。

 LIXILは、トステムやINAXなど5社が統合して2011年に誕生した、水まわり製品や建材製品のグローバルリーダーだ。同社は現在、Google Cloud上で稼働するSAP S/4HANAへの基幹システム刷新と統合を進める巨大プロジェクトの最終段階にある。

 このプロジェクトにおいて重要な役割を担うのが、工務店やリフォーム店など約3万ユーザーが利用する営業フロントシステム「CRASFL(クラスフル)」だ。CRASFLは建材製品の売上の約50%を扱う極めて重要なシステムであり、バックエンドのSAP S/4HANAと多段で連携して商品検索や発注、納期確認などの複雑な処理をリアルタイムで実行している。

 従来、エンドユーザーの体験に影響する問題が発生した際は、フロントからバックエンドへと順にエスカレーションを行い、各システムの担当者が個別に原因を切り分けていた。しかし、システムが多段かつ複雑に連携しているため、問題解決の迅速化には限界があった。そこで同社は、インフラからアプリケーションまでを一気通貫で可視化できる共通基盤として、2020年からCRASFLにNew Relicを導入。2025年3月にはバックエンドのSAPシステムへの適用も開始した。

 New Relicの選定にあたっては、WebフロントからSAP S/4HANAに至るプロセス全体をフルスタックで観測できる点に加え、SAPの認証を取得している唯一の自社開発オブザーバビリティ製品である実績を評価した。SAP Monitoring機能を活用することで、従来はExcelを用いた集計・分析が必要だったトランザクションの遅延調査なども、即座に可視化できるようになった。

20260327_LIXIL.png
New Relicの活用イメージ

 導入の効果は顕著に表れている。難易度の高いトラブルシューティングに要していた時間は、従来の1週間から数時間に短縮された。また、New Relicが不具合を検知してチャットへ通知する仕組みを構築したことで、レスポンス悪化の原因がリソース不足であれば即座にサーバーをスケーリングし、アプリ側の問題であればコードレベルまで深掘りして修正するといった迅速な対応が可能になった。

 組織面でも変化が生じている。New Relicの観測データが共通言語となったことで、アプリケーション開発者とインフラ担当者、あるいは各システム担当者間の壁を越えた連携が進んでいる。開発者自身が自らのコードの動きを把握し、自律的に改善に取り組む文化が定着しつつある。

 LIXIL Digitalの徳田和貴氏は、営業フロントから基幹システムに至るプロセスのどこで遅延が発生しているかを正確に把握し、原因特定を迅速化してユーザー体験を損なわない運用を確保することが導入の狙いだと説明する。その上で、今後は不具合への事後対応だけでなく、AI Monitoringや予測機能を戦略的に活用して未然防止に役立てたいと考えている。

 同社は今後、CRASFLでの成功事例を社内に横展開し、システム監視の枠を超えた顧客体験の最適化を追求する方針だ。デジタル部門の藤江寿紀氏は、ミッションクリティカルな環境において、網羅的な相関分析が可能なNew RelicのAI機能への期待感を示している。

ニュースソース