総合不動産グループの穴吹興産は、ハジメバの買い手企業向けAIサービス「M&AソーシングAI」を使い、毎月50件以上届くM&A案件の情報を一元化した。担当者ごとのメールやExcelに分散していた案件を、東京と高松の2拠点にいる実働4人が、同じ一覧で確認できる。10月14日、ハジメバが発表した。
穴吹興産は、香川県高松市に本社を置く東証スタンダード上場の企業で、分譲マンション「アルファ」シリーズを主力に、不動産流通、ホテル、シニア関連、人材サービス、電力など、暮らしに関わる事業を、グループで展開する。事業領域を面で広げる成長戦略の手段に、M&Aを使う。M&Aの担当は、東京と高松の2拠点にいる実働4人で、全員が通常業務を兼ねる。M&A仲介会社や金融機関から、毎月50件以上の案件が、各担当者に個別に届く。
以前は、案件を各担当者がExcelに転記していた。非独占の案件が複数の仲介会社から届くほか、同じ仲介会社の別の担当者から、社内の別の担当者に同じ案件が届くこともあり、重複に気づきにくかった。企業概要書(IM)を開いてから、すでに高松の担当が受け取っていた案件だと分かる例もあった。東京と高松で距離があり、どの案件をもらっているかを、リアルタイムに確認できなかった。過去に検討した案件の履歴も組織として引けず、ターゲットリストの作成時に、検討済みの先を除ききれなかった。
当初は、汎用のCRMツールで組むことも考えた。ただ、手入力に頼る限り、抜け漏れは防げないと判断し、M&A専用のサービスを選んだ。決め手の一つは、案件が届いた時点で、自動で一覧化される点だ。もう一つは、重複の通知で、会社名や所在地、代表者名で重複を検知できるよう依頼したところ、ハジメバが実装を前向きに検討した。上場企業として、情報の取り扱いには慎重になるため、セキュリティやアクセス権限、情報管理の方法は、社内の関係部門と確認を重ねた。
現在は、届いた案件の資料を読み込ませると、一覧に載る。AIが、買収基準との合致度を判定し、担当者は、優先して確認する案件を選ぶ。関心のある案件には担当を割り当て、仲介会社などのエージェントへの質問事項は、AIがたたき台を作る。定例ミーティングでは、この画面を映して、担当ごとの進捗を確認している。案件情報の転記作業は、月10時間からほぼゼロになり、案件を見られるメンバーは、1人から4人(2拠点)に増えた。質問事項の作成時間は、約60%減った。
穴吹興産の日下氏は、東京と高松のメンバーが同じ案件リストを見ながら会話でき、誰がどこまで進めているかも把握できるため、対応の重複や抜けが起きにくくなったと説明する。今後は、まず担当者全員が日常的に使う状態まで定着させ、自社のニーズをエージェントに正しく伝えて、より合致度の高い案件と出会える状態をつくる考えだ。