富士フイルムホールディングスは、インフォマティカ(Informatica)のマスターデータ管理(MDM)ソリューション「Informatica Master Data Management」とデータ品質管理ツール「Informatica Data Quality」を導入した。9月12日、インフォマティカ日本法人が発表した。複数のシステムに分散したデータを統合し、データドリブンな意思決定を推進する。
富士フイルムは2000年から大規模な事業構造の変革を進め、M&Aや海外市場の開拓などにより事業領域を拡大。グループ全体で約90の基幹システムが稼働している。結果としてデータが分散し、経営判断にデータを役立てるのが難しい状況になっているという。
こうした課題を解決すべく、同社は事業や部門ごとに特化したシステムを個別に開発する方式から、グループ全体で活用できる機能を共通基盤として整備し、必要に応じて組み合わせて使う「プラットフォーム型開発」に移行。全体最適型のシステム整備を進め、データ、アプリケーション、インフラ、セキュリティの四つのレイヤーで、グループ共通のデジタルプラットフォームの構築に取り組んでいる。
このうち、データプラットフォームの構築にあたっては、既存システムを生かしつつデータの統合を図った。多数の基幹システムを統合するというアプローチでは膨大なコストと時間がかかるため、まずは各基幹システムに蓄積されるデータを集めてマスターデータを共通言語化することで、部門や会社を横断したデータ活用環境を整備。2022年5月に、データプラットフォームとして新たな経営情報分析システムの運用を開始した。同システムで、データの統合、クレンジング、品質管理を担い、グループ全体でデータやKPIを共有するためのコアソリューションとして、インフォマティカのMDMとData Qualityを採用した。
MDMについては、複数のシステムに分散したデータを収集してマスターデータとして加工できるだけでなく、データのアクセス権限や加工履歴を追跡・管理できる点を高く評価したとしている。また、Data Qualityのデータプロファイリング機能とクレンジング機能により、データ品質の向上効果も見込んでいる。
さらに、ノーコードで修正・変更ができ、少ない工数でテストが可能である点や、教育プログラムやサポート体制が十分に整備されている点も、インフォマティカ製品を選んだ要員だったという。富士フイルムはスピード感を重視して内製開発に注力しており、ニーズにマッチしたかたちだ。
インフォマティカのMDMとData Qualityを活用することで、新たな経営情報分析システムでは、製品コード、売り上げ、在庫のグローバルでの一元管理や、取引先の住所、名称の表記ゆれの修正・名寄せなどを実現している。これにより、連結管理システムと各社の基幹システムの連携や、経営レポートの作成などを効率化できたという。
富士フイルムホールディングスICT戦略部統括マネージャーの古正孝春氏は、「グローバルな事業から日々生成されるデータに横串を通し、見える化を実現できた。信頼できるデータの活用、業務の効率化、インサイトを活用したデータ主導の意思決定につながっている」とコメントしている。