富士通、WalkMeで基幹システム刷新後の混乱回避 問い合わせ3カ月で8割減

2025年8月20日17:38|ニュースCaseHUB.News編集部
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 富士通は、全社DXを推進する業務プロセス変革プロジェクト「OneERP+」において、システムの早期定着と業務効率向上を目的にデジタルアダプションプラットフォーム(DAP)「WalkMe」を採用した。8月20日、WalkMeが発表した。導入により、主要システムの稼働初期における問い合わせ件数を3カ月で8割削減するなど、ユーザーの混乱を抑えながら迅速な定着化に成功した。今後は海外拠点への展開でも活用し、さらなるUX(ユーザーエクスペリエンス)改善を進める。

 富士通は現在、自らをDX企業へと転換させるべく、2020年から全社横断型プロジェクト「OneFujitsuプログラム」を推進している。その中核施策である「OneERP+」は、SAP S/4HANAを主軸に、ServiceNowやSAP Aribaなど複数のクラウドサービスを組み合わせ、業務プロセスの標準化とデータドリブン経営の実現を目指すものだ。

 12万人を超える全従業員が対象となる富士通史上最大規模の業務変革プロジェクトであり、業務をクラウドサービスの標準プロセスに合わせる「Fit to Standard」を方針として掲げている。その一方で、大規模なシステム変更に伴うユーザーの混乱や、標準仕様に対する抵抗感をいかに最小化するかが大きな課題となっていた。

 そこで富士通は、システムの改修に頼ることなくユーザー体験の向上と業務定着を両立できる仕組みとしてWalkMeの採用を決定した。言語や拠点を問わず一貫したUXを提供できる点や、システムの利用状況を可視化し、データに基づいて継続的な改善が可能になる点を評価した。

 WalkMeの導入後、ガイダンス機能や入力支援機能などを活用することで、ユーザーの自己解決を促進。中核となるSAP S/4HANAに関する問い合わせは、稼働直後の月間1万5000件から3カ月で3000件へと大幅に削減された。また、ServiceNowやSAP Aribaなど複数の周辺システムも対象に、累計290件以上の業務要件に対してWalkMeのコンテンツを実装し、ユーザーの混乱を回避しながら新システムの迅速な定着に成功した。

 今後は、2025年10月から予定されているオセアニア、シンガポール、タイの海外拠点への展開に向け、WalkMeの分析機能「Insights」の活用を強化する。ユーザーの操作ログなどのデータを分析し、さらなるUX改善を加速させたい考えだ。

 富士通 CEO室 Data&Process Division シニアマネージャーの橋本千加子氏は、「OneERP+は、全社一体で業務プロセスを変革する大規模で戦略的なプロジェクトだ。Fit to Standardの方針のもと、ユーザーの混乱や抵抗を抑えることが成功のポイントだった。WalkMeを、ユーザー体験の向上と業務定着を両立できる新たな仕組みと位置づけ、UX向上と業務標準化を同時に進めている。今後、グローバル展開を本格化する中でも、富士通のDX推進を足元から支える基盤として活用していきたい」と話している。

ニュースリリース