田中精密工業、MES「実績班長」で毎日約2時間の手入力をゼロに

2026年10月14日09:00|ニュース|CaseHUB.News編集部
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 自動車やオートバイのエンジン、駆動系の機能部品を手がける田中精密工業は、コベルコシステムの現場特化型MES(製造実行システム)「実績班長」を、呉羽工場で2026年3月から本格稼働させている。紙とExcelへの多重入力をなくし、毎日約2時間かかっていた手入力が、ゼロになった。10月13日、コベルコシステムが事例を公開した。

 田中精密工業は、1948年の創業以来、自動車やオートバイのエンジン、駆動系の精密部品の開発と製造を手がける。近年は、自動車の電動化を見据え、電装部品などの新たな領域にも挑戦している。

 製造実績や工数のデータは、紙やExcelの異なる帳票に分散していた。現品移動票、ロット管理カード、作業指示書など、さまざまな帳票に、複数人が同じ情報を入力し、転記時の打ち間違いが多発した。日々の実績入力に約2時間かかり、必要な情報の収集と分析にも手間がかかった。基幹システムとの連携も不十分で、現場のExcelで管理する実績と、基幹システムの実績情報に差異が生じ、システムへの信頼も下がっていた。製品ごとの実際原価や採算も、タイムリーに把握できず、改善活動や投資判断に必要なデータが不足していた。将来のERP刷新も視野に入れていたが、まず、製造現場の実績データを正しく集め、標準化した形で蓄積する必要があると考え、2025年1月にMESの構築プロジェクトを始めた。

 選定で重視したのは、無理なく現場になじむことだ。作業者が直感的に使えるUIだったことから、実績班長を選んだ。当初は、予算の関係で機能を絞った提案を依頼したが、業務の標準化、ロットトレースの仕組み化、データ基盤の整理まで視野に入れると、部分的な導入では不十分と判断し、必要な機能を幅広く採用した。コベルコシステムが、ITシステムと製造現場の業務プロセスの双方に深い知識を持つ点も、決め手になった。同じ素材でも取引先の都合で複数の品番を使うため、これまでは、EBOMマスタに紐づけた1つの品番の在庫しか消費できなかった。コベルコシステムが、グルーピングマスターという手法を提案し、複数の品番を扱えるようになった。毎週の定例会で進捗を管理し、そこで解決しない課題は、個別のミーティングで対応した。

 2026年3月に、呉羽工場で本格稼働した。ラベルの発行と同時に、実績が自動で登録され、毎日約2時間の手入力がゼロになり、転記ミスも解消した。ロット情報は、システム上で即時に検索でき、トレーサビリティが大きく向上した。経営の面では、作業実績と工数のデータをタイムリーに収集でき、正確な原価管理や改善活動に向けた基礎データが取れるようになった。UIは直感的で、最初の1カ月ほどで慣れ、ひらがな表記にも対応するため、ベトナムの技能実習生も操作している。

 部品製造事業部製造2課1係の松下幸司係長は「もう元の紙やデータの入力には戻れません」と話す。

 2026年8月末時点では、婦中工場への展開が同工場の全体の3分の1まで進んでおり、同年12月末までに完了する計画だ。呉羽工場をモデルとし、稼働後の仕様変更や改修の経験をマニュアル化して、横展開に生かしている。2026年8月末時点で、全体の3分の1まで展開し、12月末までに完了する計画だ。今後は、蓄積したデータを使ったBIによる見える化や、IoTの活用を進める。MESでの実績収集、BIでの見える化、ERPでの経営管理を一本につなぎ、現場から経営まで、同じデータを見て判断できる環境を目指す。

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