CVT(無段変速機)で世界トップシェアを持つジヤトコは、イノベーション技術開発部で、オープンエイトの動画制作・編集ツール「Video BRAIN」を使った動画コミュニケーションを広げている。2021年ごろに技術説明で使い始め、3年で、社内の技術展示会のすべての展示で動画を使うまでになった。10月13日、オープンエイトが発表した。活用は、採用や教育にも広がっている。
ジヤトコのイノベーション技術開発部は、オープンイノベーションオフィスのF-Lab.(未来技術センター)を企画し、運営する。電動化が進む自動車業界で、新たな技術をどう生み出し、その価値をどう伝えるかに取り組む。出発点は、優れた技術を開発しても、価値が相手に伝わらなければ、活用や次の展開につながらないという課題意識だった。それまでは、PowerPointやパネル、実物などで説明していた。動画は、技術の動きや背景を分かりやすく示せ、説明内容のばらつきを抑えて、繰り返し使える。2021年ごろから、社内の技術展示会やR&D説明会などで、Video BRAINを使い始めた。
当初は、動画制作に心理的なハードルがあり、技術展示会で動画を使ったのは2、3件だった。制作に伴走しながら成功体験を重ね、2年目には「もっと短くした方が伝わる」といった声が自然に出るようになった。3年で、技術展示会のすべての展示に動画を使うまでになった。イノベーション技術開発部の佐伯氏は、動画を作る過程でエンジニアに「伝え方を設計する」意識が育ったことを、最も大きな変化に挙げる。
展示会の動画を見た他部署から、自分たちの業務でも使えないかという相談やトライアルの申し込みが生まれ、活用は、採用や教育に広がった。内定者を含む学生に、仕事や職場の雰囲気を伝える場面や、新入社員研修の自己紹介動画などで使う。Video BRAINは、操作が比較的分かりやすく、テンプレートが豊富で、初めて使う人でも、一定の品質の動画を短時間で作り始めやすい点が評価された。専門的な編集の経験がない人でも作れた実感が、周囲の利用を後押しした。
一方、実際に使い始めるまでの心理的なハードルや、部門や個人による活用度合いの違いも見えてきた。初めて作る場合に、情報を詰め込みすぎて、長尺になりやすい点も課題だ。2026年初頭に、F-Lab.で部門横断のイベントを開催し、オープンエイトの担当者が、動画コミュニケーションの考え方や活用事例、デモを紹介した。2日間で約30部署が参加し、アンケート回答ではポジティブ評価が100%だった。開催後には、多数の参加者がトライアルを申請した。
効果は、説明品質の標準化と、業務の効率化だ。動画で、担当者による説明のばらつきを抑え、一定の品質で情報を伝えられる。対面で繰り返していた説明の一部を、動画で代替でき、より創造的な業務に時間を使える体制につながっている。
佐伯氏は「動画の本数を増やすこと自体がゴールではない」と話す。今後は、熟練技術者が持つ、言葉だけでは表現しにくい技術やノウハウを動画で記録し、次世代に継承することを検討している。業務マニュアルの補完や、海外拠点とのコミュニケーションにも、活用を広げる考えだ。