福島県保健衛生協会は、ICT基盤のクラウド移行とゼロトラストセキュリティの実現を目的に、ソフトクリエイトが提供するMicrosoft 365のマネージドサービス「SCCloud 365 Business」を採用した。4月4日、ソフトクリエイトが発表した。
県民の健康維持と公衆衛生向上をミッションとする公益財団法人である福島県保健衛生協会は、近年、国が掲げる「クラウド・バイ・デフォルト」の原則に則り、ICT基盤のクラウド移行を検討してきた。クラウド移行に際しては、コロナ禍で鮮明になった従来型のネットワーク境界防御でのパフォーマンス面の課題、被害が深刻化するランサムウェアなどのサイバーセキュリティ対策強化を強く意識し、ゼロトラストセキュリティの実現を目指したという。
具体的なプロダクトの導入を検討する中で、ゼロトラストの構成要素を個別に導入するやり方では工数やコストがかかり過ぎる懸念があった。「Microsoft 365 Business Premium以上のプランであればゼロトラストの構成要素がほぼ網羅されている」と判断し、業務のデジタル基盤のクラウド化とゼロトラストを同時に実現できる製品として、Microsoft 365を導入する方針を固めた。
Microsoft 365の導入パートナーとしてはソフトクリエイトを選定し、SCCloud 365も採用。150社以上の中小企業に対する導入実績やMicrosoft認定ソリューションパートナーとしての信頼性、さらにはSCCloud 365のSaaSバックアップや運用支援などの付加価値を評価したとしている。
2024年8月に構築環境についてのヒアリングを開始し、9月から構築をスタート。Teams、SharePoint、Exchange Onlineのほか、ID管理、MDM/MAM、EPP、EDRなどのセキュリティ機能、SCCloud 365に含まれるバックアップ機能、ログ管理、SOCサービスなど、幅広い機能やサービスを導入した。個別ソリューションを組み合わせてゼロトラストを実現する従来の計画と比べて、約3分の1の工期で導入は完了したという。
SCCloud 365を通じたMicrosoft 365の導入により、業務の生産性向上と透明性の確保を実現したとしている。同時に、当初の構想どおりにゼロトラストセキュリティ環境を構築し、クラウドの利便性を損なわずにセキュリティを強化できたという。また、ランニングコストも前述の従来計画比で約半分に抑制。投資余力が生まれ、教育研修の充実につなげている。
今後については、ゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)の確立やMicrosoft 365 Copilotによる生成AI活用が検討されている。同協会は健診業務へのAI応用可能性について検証を進める方針だ。また、Microsoft Entra Private Accessを活用し、安全かつ柔軟なネットワーク環境整備にも取り組む。