青森県教育委員会、Microsoft製品でゼロトラスト環境構築 教職員の働き方改革推進へ

2025年9月26日11:00|ニュースCaseHUB.News編集部
x
hatebu

 青森県教育委員会は、県立学校67校の教職員およそ3750人が利用する「統合型校務支援システム」のクラウド移行を進めており、そのセキュリティ基盤としてMicrosoftのソリューションを採用した。9月25日、プロジェクトを支援するアルファテック・ソリューションズ(ATS)が発表した。文部科学省が推奨するセキュリティ要件に準拠したゼロトラスト環境を構築し、教職員の業務を効率化することで児童・生徒に向き合う時間を創出する。新システムの運用開始は2026年2月を予定している。

 青森県教育委員会は教職員の働き方改革を重要課題と位置づけている。従来、統合型校務支援システムはデータセンターで運用されるオンプレミス環境にあり、職員室からしか利用できないなど、柔軟な働き方を実現する上での課題があった。また、文部科学省がGIGAスクール構想の下で示す、ゼロトラストの考え方を取り入れたセキュリティ要件への準拠も求められていた。

 そこで青森県教育委員会はシステムの全面クラウド化を決断。校務系と学習系のネットワークを統合し、教職員が端末を使い分けることなく、校内のどこからでも安全に校務を遂行できる環境の整備を目指した。

 導入プロジェクトは、青森県を基盤にICTソリューションを提供するビジネスサービス(KBS)、統合型校務支援システムの開発元であるシステムディ、そしてセキュリティ基盤構築を担うATSという3社が連携して支援している。ATSは、同県が既に利用していた「Microsoft 365 A3」をA5へアップグレードし、「Microsoft Entra Internet Access」などを組み合わせる構成を提案。ID管理からデバイス管理、マルウェア対策、データ暗号化までをMicrosoftのソリューションで包括的に網羅し、機能の重複や無駄を排した合理的なゼロトラスト環境を実装できる点を青森県教育委員会が評価し、採用に至った。

 新基盤では、IDベースの厳格なアクセス制御により、児童・生徒と教職員が利用できるシステムやデータを分離し、セキュリティを確保する。また、「Microsoft Purview」の機能でファイルは機密レベルに応じて自動的に暗号化され、万一の誤送信時にも情報漏洩を防止する。ID管理は「Microsoft Entra ID」に統合され、シングルサインオンによって複数のクラウドサービスをシームレスに利用できるようになるという。

20250926_aomori.png
ゼロトラスト環境の構築イメージ(出典:アルファテック・ソリューションズ)

 青森県教育委員会 学校教育課の川口肇大氏は、「今回のプロジェクトにより、学習系と比べてやや出遅れていた校務系のDXが一気に加速する。教職員の働き方改革を通じた児童・生徒に寄り添うための余白づくりこそ、新システムで目指すべき成果だ」と話す。2026年2月の利用開始に向け、ファイルサーバーに保管されている校務データを「SharePoint Online」へ移行する作業などを順次進める計画だ。

ニュースリリース