日立建機は、グローバル経営の可視化と業務プロセスの効率化を目的に「Microsoft Dynamics 365」を海外グループ会社の基幹業務向けERPとして刷新した。5月14日、導入を支援した日立ソリューションズが発表した。
建設機械の世界的メーカーである日立建機は、アジア、オセアニア、アフリカ、中東、欧州、北米などに拠点を持ち、海外売上比率が85%を超えるグローバル企業だ。1990年代から海外展開を本格化させ、各国のグループ会社でERPシステムを導入してきたが、システムの老朽化やビジネス環境の変化に対応しきれない課題が顕在化していた。こうした背景から、2015年にERP刷新の検討を開始。新システムには、建設機械1台ごとの原価や利益管理など必要機能の充足、長期間安定して利用できること、グローバル展開のしやすさが求められた。
製品選定にあたり、日立建機は「実績豊富なメジャー製品であり、海外でも技術者やコンサルタントの確保が容易なこと、サービスの永続性の面でも安心できる」としてMicrosoft Dynamics 365の採用を決めた。日本本社で共通テンプレートを開発し、2017年から順次海外拠点への展開を開始。オセアニアを皮切りに、アジア、中東、欧州、アフリカ、北米の17拠点で導入が完了している。
導入プロセスでは、日立ソリューションズグループが現地の商習慣や業務プロセスに柔軟に対応し、グローバルでの一貫した支援を提供した。現地プロジェクトメンバーとの信頼関係構築や、各国で異なる業務要件への対応力、途中からのプロジェクト立て直しなども高く評価されている。実際に導入を担当した日立建機グローバル営業本部の野尻尊之氏は「各拠点で日系企業としても満足の品質が確実に導入できた」と述べている。
ERPの刷新により、グループ全体で業務プロセスを効率化する基盤が築け、日本本社のチーム増員をせずに展開拠点を拡大できた。データの一元管理による、経営可視化も実現した。日本本社から海外拠点のデータをリアルタイムに取得でき、BIツールによるデータ分析も進展している。IDMS(Importer Dealer Management System)として統合・標準化されたシステム基盤は、24時間365日稼働を続けており、日立ソリューションズグループのグローバル保守サービス「G-AMO」による安定運用も評価されている。
日立建機DX推進本部ITソリューション統括部長兼販売管理システム部長の尾中孝行氏は「高品質で統一のシステムを導入できたこと、グループ全体で業務プロセスを効率化する礎を築けたことが大きな成果。導入後についても人員配置など運用サポート体制の最適化まで考えてくれた」とコメントしている。
今後は、カナダなど他国への展開拡大や、グローバルECサイト構築、「Dynamics 365 Intelligent Order Management」を活用したSCM改革、AIチャットボット導入によるユーザーサポート強化など、システムの拡張・最適化を進めていく。
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