世田谷区、キヤノンMJのシステムで情報開示の工数5割減 年1200人日の業務削減へ

2025年10月3日17:30|ニュースCaseHUB.News編集部
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 東京都世田谷区は、公文書の情報開示請求対応を効率化するため、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)の「情報公開支援システム」を導入した。10月2日、キヤノンMJが発表した。個人情報などの機密情報を自動で抽出し黒塗りする機能などを活用し、請求1件あたりの作業工数を約50%削減。年間では約1200人日以上の業務削減を見込み、創出した時間を区民サービスの向上に充てる考えだ。

 法令に基づき誰でも公文書の開示請求ができる情報公開制度は、国民の認知度が高まっており、請求件数は年々増加傾向にある。世田谷区では年間約600件の開示請求があり、従来は職員が機密情報を1件ずつ目視で確認し、マスキングテープや市販の文書編集ツールで不開示箇所の黒塗りを行っていた。加えて、不開示の根拠となる法令や条例の条項を記した理由書の作成も手作業で行っていた。一連の業務は職員の大きな負担となっており、業務の効率化と迅速化が急務だった。また、全国の行政機関では近年、人的ミスによる黒塗りの抜け漏れや、請求者が電子ファイルの黒塗り部分を復元することによる情報漏えいも発生しており、こうしたリスクへの対応も求められていた。

 今回導入した情報公開支援システムは、キヤノンMJグループが持つ自然言語処理技術を活用し、公文書に含まれる個人情報や法人情報といった機密情報の候補を自動で抽出・ハイライト表示する。職員はこれを確認し、角型や丸型、トリミングなど柔軟な形式で黒塗りを行える。黒塗り箇所ごとに不開示理由を紐づけることで、不開示理由書をワンクリックで出力できるため、書類作成業務も省力化されるという。さらに、システムから出力される開示文書は、黒塗り部分を含めたテキストデータが完全に削除され、全体が画像化されたPDFファイルとして生成される。これにより、請求者が黒塗り部分の情報をコピーしたり復元したりすることを防ぎ、セキュリティを確保した情報開示が可能になる。

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「情報公開支援システム」の導入イメージ(出典:キヤノンマーケティングジャパン)

 世田谷区は2025年5月中旬から同システムの運用を開始。機密情報の保護を強化しながら、開示請求1件あたりの作業工数を約50%削減できると見込んでいる。関連業務も含めると、年間で約1200人日以上の業務削減につながる計算だ。

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