Natureは、生成AIボットサービス「Wisora」を顧客からの問い合わせ対応業務に導入した。10月24日、Wisoraを提供するソラコムが発表した。Natureは、Wisoraを活用することで、夏季のピーク時に急増する問い合わせに柔軟に対応し、業務効率化と顧客満足度の向上の両立を目指す。
Natureは、スマートリモコン「Nature Remo」シリーズやエネルギーマネジメントデバイス「Nature Remo E2」などを提供している。近年の環境意識の高まりや猛暑の長期化により、サポートセンターへの問い合わせ件数は夏季のピーク時で通常時の約5倍に増加していた。ピーク時の対応のために担当者を増員することが難しいことに加え、従来のシナリオ型チャットボットでは想定外の質問に対応できず、対応工数の削減や顧客の利便性向上につながっていなかった。
そこでNatureは、AIボットを簡単に作成・運用できるWisora Enterpriseプランを採用した。ヘルプセンターに蓄積されたドキュメントを学習させ、過去の回答しにくい問い合わせをもとに回答精度を検証した結果、Wisoraが顧客の意図を推測し、使用機器の表示や状態などから状況を整理して回答を提示できることが確認できたため、採用を決めた。
Wisora Enterpriseプランは、ソラコムが独自に開発したアルゴリズムにより、自然な会話から必要な情報を推測し、精度の高い回答を作成できる。Natureは、カスタマーサポートのチームだけでチャットボットを導入できる点や、APIを利用して問い合わせ管理ツールのZendeskと連携することで、AIから人の担当者への引き継ぎをスムーズに行える点も評価した。
Wisoraの導入当初、問い合わせ入力画面で「チェックを入れるとAIが対応する」という設定だったが、AI回答の利用率は約2割にとどまった。しかし、顧客から「早くて的確」と好意的な声が多かったため、設定を「AI回答を希望しない場合はチェックを外す」に変更。その結果、AI回答の利用率は4割以上となり、このうち約7割の顧客がAIのみで問題を解決できた。これにより、問い合わせ対応業務の対応時間が短縮され、顧客満足度の向上も実現している。
Natureは今後、顧客からのフィードバックをもとに、AIが苦手とする質問や領域を明確化し、定期的にWisoraを改善することで、顧客対応の品質や満足度の向上を継続的に進めていく方針だ。新製品・サービスも予定されており、Wisoraの活用などにより、限られた人員で高品質な対応を継続していく。