不動産SHOPナカジツ、契約業務のDXで作業時間を大幅短縮 ミス削減と属人化解消へ

2025年12月19日11:35|ニュースCaseHUB.News編集部
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 不動産SHOPナカジツは、物件調査から契約書作成、承認に至る一連の業務をデジタル化し、契約業務のDXを推進した。システム開発ベンダーとしてアイスリーデザインを選定し、UX/UI設計とシステム開発の包括的な支援を受けた。12月19日、アイスリーデザインが発表した。システム間の自動連携や直感的な操作環境の整備により、転記ミスの解消や作業時間の大幅な短縮につなげた。今後は他システムとの連携強化や、同業他社への外販も視野に入れている。

 不動産SHOPナカジツは、愛知県を中心に全国展開を進める中古車販売・リノベーション・不動産仲介の専門会社。中長期的な事業拡大と売上拡大を目指し、社内全体でデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでいる。

 不動産売買における契約書作成は、専門知識が必要でミスが許されない重要な業務だ。従来、同社では営業スタッフが現地や役所での調査内容を紙の物件調査票に記入し、その後契約書作成システムへ手動で転記していた。このため、二重作業による非効率や転記ミスのリスクが発生していた。また、チェック業務が管理者のスキルに依存する属人化や、拠点拡大に伴う若手スタッフへの教育負荷の増大も課題となっていた。

 こうした背景から、同社は物件調査票の作成から承認までの工程を一気通貫でつなぐデジタルフローの構築を決定した。支援先には、UX/UIデザインとモダンな開発技術に強みを持つアイスリーデザインを採用。プロジェクトでは、デザイナーやエンジニアが現場に同行して業務フローを詳細に分析し、現場の声を反映したシステム設計を進めた。

 新システムでは、物件調査票を電子化し、入力内容が自動で契約書に反映される仕組みを導入した。これにより手作業による転記を廃止した。UI設計には、ユーザーが操作対象を起点に操作を選択する「OOUI(オブジェクト指向ユーザーインターフェース)」を採用。物件ごとの「案件」を単位として管理することで、直感的な操作を可能にした。また、屋外での調査業務を想定し、スマートフォンでの視認性や操作性を高めるなど、アクセシビリティにも配慮している。

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 導入の効果として、調査精度の向上により再調査の手戻りが減少したほか、契約書作成に要する作業時間を短縮した。経験の浅いスタッフでも正しく入力できるよう、適切な箇所でヘルプやアラートを表示する機能を備えたことで、教育コストの削減と管理者のチェック負担軽減も実現している。

 開発にあたっては、将来的な内製化を見据えてコードの可読性や拡張性を重視した実装ルールを統一し、社内開発チームへのスムーズな引き継ぎが可能な体制を整えた。

 不動産SHOPナカジツシステム企画課の此島功一郎氏は、「専門知識が必要で難易度の高い業務をデジタル化するにあたり、UX/UIの改善でストレスのない業務環境を目指した。保守性や将来の拡張性を見据えた設計により、使いやすさと機能性を両立できた。今後も他の業務領域での新システム開発において協力を依頼したい」としている。

 同社は今後、対象書類の拡大やさらなる自動化機能の実装といった第2フェーズの開発に着手する。将来的には、構築したシステムを不動産業界全体の業務効率化に寄与するプラットフォームとして外販することも検討していく考えだ。

ニュースリリース