静岡市は、児童相談所の業務負荷軽減を目的としたAIシステムをNECと構築、2024年4月より運用を開始する。2023年10月13日、NECが発表した。
近年、児童相談所における児童虐待の相談対応件数は増加傾向にあり、職員の業務負荷増大が課題となっている。一方で、ベテラン職員の減少により、経験の浅い職員へのノウハウ継承が困難になっている。また、面談記録の作成など、単純業務に時間がかかっていることも、現場の負担となっている。
静岡市が導入するシステムは、過去の相談対応のノウハウを学習したAIを活用し、経験の浅い職員を支援する。具体的には、児童虐待の通告時や調査時、処遇時など、各フェーズに応じて、過去の類似事例やベテラン職員からのアドバイスといった情報をAIが提示することで、職員の判断をサポートする。また、音声認識AIによる面談記録の自動文字起こし機能も搭載し、職員の記録業務の効率化を図る。
本システムは、2022年12月から2023年3月にかけて実施された実証実験において、対応の質が約54%向上、業務時間が約33%削減した。このシステムには、NECソリューションイノベータのホワイトボックス型AIが搭載されており、AIが提示した情報の根拠を職員が確認できる点が特徴だ。AIによる業務支援の透明性を確保することで、職員が安心してシステムを利用できる環境を構築する。
NECは、静岡市に対し、システムの操作方法だけでなく、AIを活用したシステムの特徴や注意点に関する研修も実施する。AIに関する正しい知識を習得することで、職員がシステムをより効果的に活用できるよう支援する。
NECは今後、静岡市での実績を基に、本システムを全国の児童相談所へ展開していく予定だ。また、音声認識AIの機能強化として、電話による通告時の音声文字化なども検討している。さらに、家庭児童相談室など、関係機関とのノウハウ共有を進めることで、子どもの福祉全体の支援強化を目指す。
ニュースリリースURL
https://jpn.nec.com/press/202310/20231013_01.html