ワイズマンは、業界トップクラスの実績を持つクラウド型介護システム「ワイズマンシステムSP」に、オブザーバビリティプラットフォーム「New Relic」を採用した。11月11日、New Relicが発表した。この導入により、従来のモニタリング手法では把握できなかった顧客が体験する遅延や不具合をいち早く検知できるようになり、サービス品質と顧客満足度の向上を実現した。
ワイズマンは、全国6万1200を超える介護・福祉施設で導入されている「ワイズマンシステムSP」を中核事業とするICTソリューション企業だ。同社の技術統括部は、多様なアプリケーション群を稼働させる基盤整備と、日鉄ソリューションズのマネージドクラウドabsonneとAmazon Web Services(AWS)で構成されるハイブリッド環境の運用保守を担っている。
2022年にNew Relicを導入する以前は、顧客からの問い合わせを受けて初めて遅延が発生していることを知るケースもあり、顧客体験の観測が課題だった。そこで、従来の監視手法では検知できない「顧客が体験する遅延や不具合」をいち早く把握し、サービス品質と顧客満足度の向上を目指すため、New Relicを全社基盤として採用した。システム基盤のモノリシックな構造を見直し、APIを介して動作するモダンなアプリケーションに改修する作業と並行して導入を進めたことで、アプリケーションパフォーマンス監視(APM)などで観測できる範囲を大きく広げられた。
New Relicの導入により、ハイブリッド環境におけるユーザー体験の可視化、問題検知と原因の特定、解決の迅速化など、モニタリングの高度化に貢献している。トラブルシューティングは大幅に迅速化し、従来は1カ月を要したスロークエリの原因特定と解決がNew Relicで数時間に短縮できた例もあるという。また、不具合の原因がabsonne側かAWS側かの切り分けにも有効だ。
さらにワイズマンは、New Relicの「カスタム属性機能」と「New Relic Query Language(NRQL)」を利用し、観測データと契約情報・端末仕様などを紐づけた「顧客ごとのダッシュボード」を生成する仕組みを作り上げた。これにより、全国6万1200事業所において「顧客端末単位」でサービス体験を把握できるようになり、PCスペックやネットワーク帯域など、顧客ごとに異なる環境での最適なサポート提供に役立てている。
同社 開発本部 技術統括部 部長の佐山国央氏は、New Relicの活用により「社内のトラブルシューティングのスキルが大きく高まった」とし、「顧客により良いサービスを提供したい、それを支えるシステムの監視運用には自分たちで責任を持って取り組んでいきたい」と、活用の高度化に意欲を示している。
ワイズマンは、New Relicで作成したダッシュボードを外部公開できる「Public Dashboard」を使って、顧客と接する支店やサポートのスタッフへ効果的に情報共有を行う仕組みを検討している。問題が顕在化する前にその可能性を共有し、お客様と適切なコミュニケーションを図ることで、顧客のワイズマンに対する信頼や期待を高めるよう取り組む方針だ。