東海コープ、New Relicで宅配システムの監視を効率化 障害対応工数を20%削減

2025年8月26日11:36|ニュースCaseHUB.News編集部
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 生活協同組合連合会 東海コープ事業連合(東海コープ)は、宅配事業のシステムにおけるトラブル対応の効率化を目的に、オブザーバビリティプラットフォーム「New Relic」を採用した。8月26日、New Relicが発表した。トラブルの検知から原因特定までの工数を最大20%削減した。今後は観測対象を拡大し、事業全体のサービス品質向上を目指す。

 東海コープは、岐阜、愛知、三重の東海3県で活動する3つの生活協同組合が協同で運営する事業連帯組織だ。計100万人を超える組合員に商品を届ける宅配事業を中核としており、オンライン注文サービス「e-フレンズ」やスマートフォンアプリも提供している。2022年にe-フレンズのシステムを大規模に更新し、アプリの提供も開始したことを機に、若年層の利用拡大とEC利用率の向上によるDX推進を目指していた。

 東海コープではシステムの安定稼働が不可欠である一方、旧来の監視体制では課題を抱えていた。システム基盤のエラーは把握できたものの、組合員が使用するPCやモバイル端末側で発生したエラーはほとんど把握できず、利用者からの指摘で初めて問題に気づく状況だった。また、トラブル発生時にはアプリケーションのログから原因を調査していたが、特定までに時間を要することも課題となっていた。

 こうした課題を解決するため、東海コープは2023年5月にe-フレンズの観測にNew Relicを導入した。2024年4月には配送システムや組合員管理システムにも対象を拡充した。New Relicの導入により、障害調査が効率化され、トラブル検知から原因特定までの工数を最大20%削減した。従来は組合員からの問い合わせを起点に調査を開始していたが、ダッシュボードを通じて問題を能動的かつ早期に検知できるようになった。

 開発プロセスにおいてもNew Relicを活用している。四半期に一度の大型機能リリースや月1回の細かな更新の前に、システムの挙動を最終チェックすることで、リリースに伴う大きな障害の発生を未然に防いだ事例もある。システムの安定稼働は事業面にも好影響をもたらした。従来はアクセスの集中により表示に問題が発生することもあったサイト限定のキャンペーンを、1週間連続で実施できるようになり、組合員の満足度向上に貢献している。

 今後は、観測対象を生協の事業を構成する全てのビジネスプロセスに拡大していく計画だ。単一のプラットフォームで多様なシステムを観測できるNew Relicの特性を生かし、少ない人員でも効率的に事業全体のサービス品質向上に取り組みたい考えだ。

 東海コープ事業連合 管理本部 副本部長 兼 情報システム部 部長の奥村彰規氏は、「New Relicによるオブザーバビリティを通じて、e-フレンズや配送システムの安定性が増し、それが宅配事業におけるサービス品質の向上や組合員の満足度向上につながっている。現在のe-フレンズアプリのローンチ前はアプリに対する不満の声がSNS上で散見されたが、いまではそうした声もなくなった。組合員のEC化率を現状の40%程度から60%へ引き上げる目標の達成にも、New Relicが有効に機能してくれている」とコメントしている。

ニュースリリース