エアークローゼットは、基幹システムの性能監視、改善、障害調査の自動化を目的に、オブザーバビリティプラットフォーム「New Relic」を採用した。7月8日、New Relicが発表した。独自のAIOpsの仕組みを構築したことで、問題調査にかかる時間を従来比20分の1に短縮し、スタイリストの商品選定時間を年間2520時間分削減する成果を出している。
エアークローゼットは、女性向けの月額制ファッションレンタルサービス「airCloset」などを運営している。2026年3月末時点で会員数は約150万人に達しており、家電レンタルや実店舗サロンなど多角的なサービスを展開している。
同社では、ビジネスを支えるサービスと物流の両面に関する基幹システムを内製しており、常時約70の開発プロジェクトが並行して進行していた。しかし、システムの規模と複雑性が増すにつれて全体の状態把握が困難になり、障害対応が後手に回るなどの課題が浮上していた。以前のオブザーバビリティ製品では現場での活用が進まず、レスポンス低下などに顧客が先に気づくケースもあった。特にピーク時にはデータベースへの負荷が通常時の数十倍に跳ね上がり、コード上の問題によって負荷が指数関数的に増大する状況にあった。
こうした状況を抜本的に改善するため、同社は2023年1月にNew Relicの導入を決定した。選定にあたっては、導入後の立ち上げ支援やオンボードサポートなどのノウハウ提供が充実している点、アプリケーション性能、インフラ、動作ログなどのデータを網羅的に収集、分析、可視化できる統合プラットフォームである点を評価した。
導入後、同社は「New Relic MCP Server」とマルチエージェントを連携させた独自のAIOpsシステム「New Relic Analyzer」をスピード開発した。毎朝AIがアプリケーションの状態を分析して問題を自動検出し、内製サーバーを通じてソースコードを調査して原因コードを特定。修正案とともにBacklogチケットを自動で起票する仕組みを整えた。
この仕組みにより、エンジニアが出社した時点で原因コード付きの改善チケットが届いている環境が実現し、問題調査にかかる時間は20分の1に短縮された。性能監視から改善計画立案までの工数もゼロになっている。また、事前に原因コードが可視化されるため、経験の浅いメンバーでも修正可能となり、エンジニアのスキルに応じた最適なアサインが可能になった。さらに、日常的な問い合わせ対応業務でも、AIとNew Relic、GitHubを連携させることで、原因特定までの時間を大幅に短縮している。
エアークローゼット執行役員CTOでプロダクトグループマネージャーを兼務する辻亮佑氏は、「顧客や従業員1人ひとりが時間価値を最大化することを目指している。その意味で、New Relicに蓄積されるデータは宝の山であり、適切にAIに渡すことができれば、定型的なトリアージや障害調査などの非生産的な作業を自動化し、エンジニアがよりクリエイティブな開発に集中することで、人の時間価値を高められる」と話している。今後は自動化パイプラインの完結を目指し、2026年内にも一部の性能問題について検出から修正コードのリリースまでをAIに完結させる自律運用の実現を計画している。