オープンハウスグループは、人手に依存した運用監視体制の刷新とインシデント対応の迅速化を目的に、インシデント管理プラットフォーム「PagerDuty」を採用した。7月8日、PagerDutyが発表した。AIによるアラートの自動グルーピング機能を活用することで不要な通知を約47%削減し、障害予兆の早期検知と現場の運用の仕組み化を達成した。
オープンハウスグループは、戸建関連事業、マンション事業、収益不動産事業、米国不動産事業などを多角的に展開する不動産企業である。ベンチャーのスピード感と大手の規模感を強みに急成長を続けており、グループ全体のITインフラの安定稼働が企業活動の生命線となっている。
同社の情報システム部インフラストラクチャグループでは、全国20数拠点に配置された約300台のサーバーをはじめとするITインフラを横断的に運用していた。しかし、監視ツールからの大量のアラート通知をすべてメールに集約していたため、重要度の異なる通知が一律に届き、緊急性の高いインシデントの判別に多大な時間と労力を要していた。過剰な通知による現場の疲弊に加え、システムごとに対応方針が異なり、個人のスキルに依存する属人的な対応体制が続いていたことから、全社横断での運用の仕組み化が急務となっていた。
こうした課題を解決するため、同社は複数のツールを比較検討し、AWSやGoogle Cloudなどのマルチクラウド環境に対応したアラートの集約能力、担当者への自動通知機能、AIによる自動グルーピング機能などを高く評価してPagerDutyの採用を決めた。
導入プロジェクトは、アラートの仕分けやスケジュールの設定を経て、2週間足らずで本稼働を開始した。導入後は、同一ホストの複数アラートが一つのチケットに集約されるようになり、直近45日間で総アラート数を1885件から884件へと約47%削減することに成功した。これにより、アラート確認に要する時間は体感で5分の1程度に減少した。また、スケジュール機能によって必要な担当者へピンポイントで確実に通知が届く仕組みを構築し、誰が対応中かをコンソール上で可視化することで、チーム内での相互フォローや業務の標準化が実現した。
さらに、心理的負荷の軽減により、現場が自ら情報を確認しにいくプロアクティブな姿勢へと組織文化が変化した。夜間の一時的なネットワーク瞬断といった微細な障害予兆をインシデント化する前に検知・対応できるようになり、大きな障害の発生抑制に手ごたえを得ている。
オープンハウスグループ情報システム部インフラストラクチャG上席課長の伊藤優氏は、重要なアラートを見落としかねないメール運用の限界や過剰な通知による疲弊が課題だったと振り返る。PagerDutyの導入はエンジニアが本来の創造的な仕事に集中するための第一歩であるとし、今後はセキュリティアラートの統合や、Webhookを活用した自動復旧フローの構築、AIによる予兆検知を推進し、ビジネス影響ゼロの世界を目指して活用を進化させる。