宮下酒造は、最高級日本酒のブランド価値向上とグローバル市場での需要把握を目的に、トレーサビリティ・サービス「SHIMENAWA(しめなわ)」を採用した。1月23日、SHIMENAWAを提供するSBIトレーサビリティが発表した。ブロックチェーンと開封検知機能付きのNFC(近距離無線通信)タグを組み合わせ、真贋証明や詳細な消費データの収集を可能にする。これにより、海外市場での不正流通防止と、データに基づいたマーケティングの高度化を目指す。
宮下酒造は、岡山県の中央を流れる旭川のほとりに醸造蔵を構える総合酒類メーカー。日本名水百選に選ばれた冷泉に近い立地を活かし、清酒のほかビールやウイスキーなど幅広い酒類を展開している。今回、SHIMENAWAを適用するのは、精米歩合を極限まで追求した超高精白酒を含む最高級の3銘柄。同社は近年、米国や欧州、アジア諸国への輸出を拡大しており、各国の免税店などで販売される高級酒のブランド保護と、海外で消費者がどのように自社製品を楽しんでいるかを正確に把握することが課題となっていた。
採用されたSHIMENAWAは、ブロックチェーンとNFCタグを融合させた技術。商品一つひとつに付されたNFCタグの固有IDを、ブロックチェーン上の改ざんが困難なデジタル情報と強固に紐付けることで、醸造元を確実に証明できる。最大の特徴は、食の安全性担保や需要把握に寄与する開封検知機能だ。消費者がスマートフォンでタグにタッチすると、開封した事実がブロックチェーンに記録される仕組みとなっている。これにより、世界中のどの国で、いつごろ開封されたかというデータを取得でき、酒造会社はこれらを経営戦略に活用できる。
システムには真贋証明以外にも、不正な横流しを抑止する正規品管理機能や、購入者限定のデジタルコンテンツを提供するファンマーケティング機能が備わっている。酒瓶のラベルだけでは伝えきれない造り手の想いやこだわりを、スマートフォンを通じて消費者に直接届けることが可能になる。最高級の日本酒を嗜む体験をより特別なものへと昇華させ、ブランド価値を最大限に引き出す狙いがある。また、RFIDタグを活用した入出庫・在庫管理機能により、作業時間の短縮や在庫管理の精度向上といった業務効率化も見込んでいる。