九州電力は、投資・事業開発領域における情報管理と共有の高度化を目的に、Notionを活用した顧客管理システム「Notion CRM」を採用した。1月30日、導入を支援したModelistが発表した。投資判断に至る検討プロセスを組織の資産として蓄積することで、属人化の解消と業務効率の大幅な向上につなげている。
九州電力のテクニカルソリューション統括本部では、スタートアップへの投資検討と新規事業開発を並行して推進している。同領域では、マーケット動向やトレンドなどの多角的な情報を掛け合わせて判断を行うが、最終的な成果物のみが残り、なぜその判断に至ったのかという意思決定の背景や検討プロセスが記録されにくい課題があった。担当者の経験に依存する属人化や、人事異動時の引き継ぎに伴う再現性の低下を懸念し、情報管理体制の刷新を決定した。
採用にあたっては、Notion AIとリレーショナルデータベースを組み合わせることで、複雑な思考軸に沿った情報の整理・分析ができる点を評価した。また、商談の事前準備から会議中の記録、事後の整理、アウトプットの作成までを一つのツールで完結できる利便性も決め手となった。導入に際しては、Modelistが提供するデモンストレーションを通じて具体的な運用イメージを共有し、社内の合意形成を図った。
2025年8月に正式導入された新システムでは、商談の前後を通じた一気通貫のプロセス管理を実現している。商談前には企業調査や論点整理を行い、商談中には会議内容をリアルタイムで記録。商談後にはそれらの情報を整理して報告や引き継ぎに活用する運用を定着させた。企業調査の段階でNotion AIを活用し、提携ストーリーの構築に向けてAIと壁打ちを行うといった活用も進んでいる。
導入効果として、現場の業務効率は向上している。商談準備や事後処理の迅速化により、1人あたりが対応できる顧客数が従来の3社程度から5社程度に増加した例もある。また、マネジメント層とのコミュニケーションのあり方にも変化が生じている。上司が報告を待つのではなく、必要に応じてNotion上の記録を確認できるようになったことで、組織全体の情報共有スピードが加速し、意思決定の質も高まっている。
九州電力テクニカルソリューション統括本部の村上氏は、「投資や事業開発のように判断軸が多く、情報が頻繁に動く組織にとって、プロセスを余すことなく残せる仕組みは極めて有効だ。仕事の再現性をチームとして高めることが可能になった」としている。今後は事前準備の文化をさらに定着させるとともに、案件管理領域への活用拡大も視野に入れ、組織全体のデジタル化を推進していく。