石狩再エネデータセンター第1号は9月25日、NTT東日本が提供するIOWNの光伝送ネットワーク技術「All-Photonics Network(APN)」を北海道・石狩と東京・大手町間で導入すると発表した。高速大容量・低遅延というAPNの特徴を生かし、遠隔地間のネットワーク遅延という物理的な課題を解消する。これにより、両拠点が隣接するデータセンターのように利用できる環境を構築し、高まるAI関連の需要に対応する。
石狩再エネデータセンター第1号は、同名の合同会社(東急不動産、Flower Communicationsなどが出資)が推進するプロジェクト。総務省の助成事業に基づき、北海道石狩市に再生可能エネルギーを地産地消するデータセンターを建設中で、2026年4月の開業を予定している。
APNは、ネットワークの末端から末端まで光のまま信号を伝送する技術で、従来のネットワークに比べて大幅な高速化、大容量化、低遅延、低消費電力化が見込まれる。今回のAPN採用は、日本のネットワークの中心地である東京の大手町と、北海道の石狩に建設するデータセンターとの間の距離的な課題や通信遅延を解決することを目的としている。APNの構築完了は2026年8月を予定している。
また、IOWNの採用に合わせて、同データセンターの1区画(2.4MW)をGPUサーバー専用ルームとして販売開始した。昨今のAI開発における高いコンピューティング需要に応えるもので、北海道初のGPU専用データホールになるという。この区画では水冷冷却システムを導入でき、ユーザーの設備仕様に合わせて柔軟に設備設計の対応が可能だとしている。今後、首都圏や関西圏で水冷冷却システムの導入やGPUサーバーの設置を検討しているデータセンター事業者、企業、AI事業者などへ提供していく計画だ。