NTTドコモは、5G商用ネットワークサービス向けに、富士通のO-RAN ALLIANCEに準拠した5G仮想化基地局を採用し、2023年9月から商用サービスを開始した。2023年9月27日、富士通が発表した。
携帯電話事業者を取り巻く環境は、急激なトラフィック増加への対応や、多様化するニーズへの対応が求められるなど、厳しい状況にある。ドコモは、こうした課題を克服するため、柔軟性、拡張性に優れたオープンアーキテクチャを採用した5G仮想化基地局の導入を検討していた。
富士通の5G仮想化基地局は、Wind Riverのクラウド仮想化基盤「Wind River Studio」、NVIDIAのコンバージドアクセラレータおよびソフトウェア開発キット、インテルのアーキテクチャを採用した汎用サーバで構成されている。オープンRANの世界標準であるO-RAN ALLIANCE仕様に準拠したオープンフロントホールインタフェースを実装しており、グローバルサプライヤーの無線装置と組み合わせたマルチベンダー接続を実現する。
ドコモは、今回の採用理由として、富士通の5G仮想化基地局は高性能なGPU、柔軟性の高いオープンフロントホールアーキテクチャ、省電力化対応など、今後のO-RAN市場拡大に貢献できるソリューションであることを評価した。
ドコモは、多様なグローバルベンダーが連携して最適なO-RANを提供するO-RANサービスブランド「OREX」を展開しており、富士通はその中核技術である仮想化基地局機能の提供を中心にオープンアーキテクチャによるワイヤレスネットワークのグローバル展開に貢献している。今回の採用は、ドコモが運用する5G商用ネットワークにおいて、O-RANに準拠した5G仮想化基地局の適用第一号となる。
NTTドコモ OREXエバンジェリスト グローバルビジネス部の安部田貞行氏は、「Open RANは今後のモバイルネットワークの発展において欠かせない技術です。中でもvRANはネットワークの柔軟な進化を実現する上で重要です。この度、基地局ソフトウェアとして富士通、アクセラレータとしてNVIDA GPUを採用した高性能なvRANの開発が完了しました。ドコモネットワークの更なる発展に貢献し、商用におけるノウハウを蓄積することでグローバル市場におけるより効率的なOpen RANの展開を推進していきます」とコメントしている。