NTTドコモとシンガポールの通信大手StarHubは、国際ローミング不具合対応の自動化に向けた共同の取り組みを開始した。システム基盤として、ServiceNowのAIプラットフォーム「ServiceNow AI Platform」と「ServiceNow CRM」を採用した。3月2日、ServiceNowが発表した。業界初となるインターキャリア運用モデルを構築し、渡航先での通信トラブルを迅速に特定・解決できる体制を整える。2026年後半の商用提供開始を目指し、世界中の渡航者に信頼性の高い接続体験を提供する。
海外で国際ローミングを利用する際、通信が途切れるなどの不具合が発生すると、従来は複数の通信事業者が連携して対応する必要があった。しかし、業界全体で統一された標準が整備されていないため、各事業者は独自のWebフォームやEメールで報告や進捗管理を行っており、対応に遅延が生じる原因となっていた。渡航者にとっては必要な時に通信が使えないリスクがあり、事業者にとっても収益損失や顧客満足度の低下が課題だった。
NTTドコモは2021年からServiceNowと協業し、人手を介さないゼロタッチオペレーション(ZTO)によって遠隔保守作業の自動化を推進してきた。不具合からの復旧時間短縮や夜間の有人サポート体制の廃止といった成果を上げており、今回のプロジェクトではこの自動化を通信事業者の枠を超えて拡張する。
新たに開発する運用モデルでは、AIやワークフローを活用して従来の手動プロセスを自動化する。不具合の発生場所や影響を受けているネットワーク、対応状況をリアルタイムで可視化し、通信事業者間での迅速な連携を制御する。これにより、ネットワーク全体を横断したプロアクティブな顧客対応が可能になり、問題の早期検知と迅速な解決が実現する。
今回の取り組みには、200社以上の通信・クラウド事業者が加盟する国際的な業界団体Mplifyも協力している。オープンな業界標準に基づき、トラブルチケット管理に関する標準仕様を適用することで、複数の事業者間での一貫した運用とグローバルな相互運用性を担保する。
NTTドコモ執行役員ネットワーク本部長の引馬章裕氏は、今回の協業は世界中の顧客に提供するローミングサービスの信頼性を向上させる重要な一歩だと指摘する。事業者ごとの運用プロセスを超えて自動化を拡張し、標準化されたモデルを導入することで、サービス中断の低減や解決までのスピード向上が期待できるとしている。
StarHub最高技術責任者のヴォルカン・セヴィンディク氏は、通信事業者間の保守運用を自動化・標準化することで、業界が長年抱えてきた課題に根本から取り組めると述べている。テクノロジーを大規模に活用しながら顧客体験を中心に据え、国境を越えたシームレスな接続体験を提供していく構えだ。
今後は、渡航者の通信環境改善と運用プロセスの標準化を軸に、グローバルに展開可能なスケーラブルな運用モデルの確立を急ぐ。複数の事業者が混在する環境下でもサービスの継続性を維持できる体制を構築し、次世代のグローバル通信インフラの発展に貢献したい考えだ。