荏原製作所は、事業拡大とグローバルITインフラの強化を目的に「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」を採用した。日本オラクルが5月13日に発表した。
荏原製作所は1912年創業の産業機械メーカーで、ポンプや送風機、冷却塔、半導体製造装置などをグローバルに展開している。約2万人の従業員を擁し、海外売上高比率は66%に達している。2023年から2025年までの中期経営計画「E-Plan2025」では、主力事業の競争力強化と新規事業の拡充、ERPシステムの全社導入、グローバルITインフラの統合による標準化・効率化を推進している。こうした経営方針のもと、基幹業務を含む200以上のシステムで利用する「Oracle Database」とアプリケーション群をOCIに移行した。
導入の背景には、グローバルで多様化する事業環境への迅速な対応と、IT基盤の標準化・運用効率化がある。荏原製作所は、耐障害性に優れた信頼性の高いクラウド環境への移行、スタンバイ環境の新設による高可用性の確保、定期的なパッチ適用作業など運用負荷の軽減、さらに他社クラウド環境と連携可能なマルチクラウド構成の実現を目指した。
クラウドサービスの選定にあたり、Oracle Databaseの継続利用を前提に複数のクラウドを比較した。他社クラウドでのデータベース基盤構築と比べ、OCIは約40%のコスト削減が可能であること、さらにOracle Exadataの高度な機能やOracle Real Application Clusters(RAC)構成が利用できる点が評価され採用を決めた。
移行プロセスでは、データベース基盤にOracle Exadata Database Service、アプリケーション基盤にOCI Compute、Oracle Cloud VMware Solution、Oracle WebLogic Server for OCIを活用。既存アプリケーションの大幅な改変を行わず、約6カ月という短期間で移行を完了した。クラウド上に新設したスタンバイ環境により、障害時やメンテナンス時の影響を最小限に抑えた。リソース変更の柔軟性を活かし、検証環境やスタンバイ環境のコストも抑制した。また、Oracle Real Application Testingを活用し、SQLテスト対象を98.8%削減するなど、移行プロセスの効率化も実現している。
導入効果として、基幹業務や精密・電子事業で利用する業務アプリケーションの安定性・柔軟性・コスト効率が向上し、IT基盤の標準化と事業拡大への迅速な対応が可能となった。荏原製作所 情報通信統括部 ITアーキテクト部 インフラ・システム課の斉藤有弘氏は、「OCIへの移行は、当社のグローバルITインフラを再構築し、成長に柔軟に対応できる基盤を整える大きな転機となった。移行期間中も大きなシステム変更を伴わずに安定した業務継続ができ、日本オラクルの技術支援によりスムーズなプロジェクト遂行が可能だった」と述べている。
導入に際しては、Oracle Cloud Lift Servicesによるアーキテクチャ方針の策定、日本オラクルのコンサルティング部門によるOracle Exadata Database Service構築やOracle Real Application Testing活用支援、Oracle Customer Success Servicesを通じたシステム監視やサービスリクエスト管理体制の整備など、各種支援サービスも受けている。
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