セブン銀行は、会計システムに「Oracle Fusion Cloud Enterprise Resource Planning (Oracle Cloud ERP)」を採用した。4月25日、日本オラクルと電通総研が発表した。構築は電通総研が支援する。事業拡大を支え、変化に対応できる経営管理を行うのが狙いだという。
セブン銀行は全国に2万7000台以上のATMを設置するATMプラットフォーム事業が基幹事業だが、近年、クレジットカードや電子マネー、法人・外国人向けサービス事業などにも注力し、事業の多角化を進めている。銀行業に求められる信頼性を維持しながら、俊敏かつ柔軟な経営管理ができる仕組みづくりを模索してきた。
従来の予算、発注購買、会計決算業務では、多数のシステムを横断した煩雑な事務処理が必要だった。勘定系システムと銀行決算システムで総勘定元帳を二重管理していたことも業務負荷の増大につながっていた。新規サービス立ち上げ時に会計システムを対応させるリードタイムが長いことも課題だった。
そこで、勘定系システムへの手動計上を減らし、総勘定元帳をOracle Cloud ERPに配置し管理範囲を拡大する。さらに、発注・支出管理、経費支払や決算処理業務の標準化を進め、複数システムをOracle Cloud ERPに統合して運用するとしている。これにより総勘定元帳の二重管理を解消するとともに、発注、支払いで発生する財務データをシステム間で自動連携することで、業務効率化や人的ミスのリスク低減につなげたい考えだ。
セブン銀行はOracle Cloud ERPについて、必要な業務領域のシステムを段階的に導入しやすい疎結合型のSaaSである点を評価。活用範囲が広がってもリアルタイムなデータ整合性を維持し、データドリブン経営の基盤として機能すると見ている。国内外の金融・銀行業界での導入事例の豊富さや、四半期ごとのアップデートでAIなど最新テクノロジーを積極的に盛り込んでいる点も採用を決めたポイントだったという。
また、構築パートナーの電通総研は、2013年にセブン銀行のインターネット・バンキング再構築に携わって以降、同行のシステム開発プロジェクトを支援してきた。今回のプロジェクトでは、電通総研独自の金融機関向け帳票テンプレートなどを活用し、構築期間の短縮を図る。
セブン銀行 コーポレート・トランスフォーメーション部の石原健二氏は「アプリケーションからシステム基盤まで統合された先進のSaaS基盤上で業務標準化・効率化とデータドリブン経営を推進できると期待してOracle Cloud ERPを選択した。将来的なグループ展開も含めた拡張性の高さや、生成AIなどの最新テクノロジーのメリットを迅速に享受できる点も評価している」とコメントしている。