デルタ工業は、販売、購買、在庫、生産管理の領域に「Oracle Fusion Cloud Supply Chain & Manufacturing(SCM)」を採用し、基幹系システムをSaaSで統合する。2023年1月には会計領域で「Oracle Fusion Cloud Enterprise Resource Planning(ERP)」が稼働しており、販売、購買、在庫、生産管理の領域は、2026年1月の稼働を目指している。日本オラクルが、2024年1月23日に発表した。
デルタ工業は、自動車用シートの研究、開発、製造までを自社で一貫して担う生産体制を構築し、高品質な製品を提供してきた。しかし、自動車業界を取り巻く環境変化の中、新たなビジネスモデルや販路開拓が急務となっており、それらを支える基幹系システムの刷新が求められていた。
従来の基幹系システムは老朽化が進み、会計と生産管理、サプライチェーン間の連携がスムーズではなかった。さらに、一元管理されたマスターデータの構築や、セキュリティ、IT事業継続性の面でも課題を抱えていた。そこでデルタ工業では、業務プロセスを標準化し業務効率を向上させるとともに、システム運用負荷を軽減して人的リソースの最適化を実現するために、クラウドネイティブなSaaSである「Oracle Fusion Cloud Applications Suite」を選択した。
「Oracle Cloud ERP」と「Oracle Cloud SCM」は統合化されているので、原価や生産情報の一元管理が可能となる。会計システムとの連携により、ドリルダウンで参照している情報の発生源まで可視化できるようになる。これにより、実績ベースの管理から、販売や原価企画段階での予実管理も可能となる。また、今後の追加開発においても、Oracle FusionはAPIによる疎結合で連携できるため、将来的に拡張性を担保できる点も評価された。さらに高度なセキュリティが提供されるオラクルのクラウド基盤上に搭載されたSaaSのため、セキュリティを含めたアップデートや、障害時の問題切り分けが容易となり、それらを確保するための追加コストや運用負荷の軽減も見込まれる。
デルタ工業取締役の池内実氏は、「全社基幹系システムの刷新にあたり、クラウドネイティブSaaSの活用で業務標準化と運用負荷の軽減に加え、海外販路の拡大などの事業成長を支える変化対応力の高いビジネス基盤の構築を目指すことにした。従来のシステムは、当時のビジネスに特化した機能拡張を繰り返し、業務負荷、運用ともに多大な工数が発生していた。Oracle Fusion Cloud Applications Suiteを採用することで、子会社、仕入先、外注先、複数工場で散在したデータが一元管理され、在庫情報の見える化やガバナンスを強化する。全社横断的に情報が統合され可視化できることで、将来の事業拡大に向けたデータに基づく経営判断が可能になる。今後は、定期的に提供されるAIなどの最新テクノロジーを活用することで、業務の省力化に役立てていく」とコメントしている。