PayPay銀行は、共通IT基盤をデル・テクノロジーズの従量課金型インフラサービス「Dell APEX」で構築した。6月17日、デル・テクノロジーズが発表した。導入から10年間のインフラコストを従来の約1/3、金額にして数億円相当削減できる見込み。また、新規システムのハードウェア導入期間を従来の約半年から約1カ月まで短縮したという。
PayPay銀行は多くのシステムをパブリッククラウドで運用しているが、勘定系システムや外部機関との連携などを担う周辺システムについては、セキュリティや安定性確保、システム間連携の観点からオンプレミスで運用している。しかし従来、周辺システム群を個別の物理サーバーで構築してきたため、インフラ更改に掛かるコストや定期的なリプレース作業が大きな負担になっていた。
そこで同行は、新たな銀行共通基盤への仮想統合を決断。22年にデル・テクノロジーズのHCI製品「Dell VxRail」を採用した。増設・拡張や運用管理が容易であり、アップデート作業もパッケージ化されているため、面倒な検証作業などが不要な点を評価した。その後、新銀行共通基盤のさらなる増強に取り掛かった際、インフラ調達に伴う初期投資をいかに軽減するかという新たな課題が浮上した。その解決策として、従来型の手法と比較して大幅なコスト削減が見込まれるとしてAPEXを採用した。
APEXはオンプレミスの形態を維持しつつ、急激な需要増を見込んで余剰リソースを確保しておく必要がなく、新規システム構築の際の調達リードタイムも大幅に短縮できるクラウドサービスのような使い勝手も採用を決めたポイントだったという。さらに、ハードウェア更改の検討作業から解放される点、人的リソース不足を補うことができる「レジデンシー サービス」、専任のサービスアカウントマネージャーによるサポート窓口の一本化も評価したとしている。
今回のAPEX導入による最大の効果は、導入から10年間のインフラコストを約1/3削減できる見込みであることだという。金額に換算すると数億円単位のコスト削減となる。また、サーバー、ストレージ、ネットワーク、HCIなどのコンポーネントを利用した分だけ月額費用で支払うことが可能になり、多額の初期費用を確保する必要がなくなった上、CAPEXからOPEXへのシフトも実現し、突発的な需要増大にも迅速に対応できるようになったとしている。
PayPay銀行IT本部開発二部長の近藤毅宏氏は「インフラ調達に伴う多額の初期費用負担や、定期的に発生する物理サーバー更改への対応といった課題を無事解決できた。金融システムの構築には1年以上掛かるケースも少なくないが、今回は設計書もないゼロベースの状態から約半年程度でリリースできた。TCO削減の面でもAPEXは大いに役立っている」とコメントしている。
PayPay銀行は先行して購入した4ノードに加え、合計14ノードのVxRailをAPEXで追加調達し、23年12月より本番稼働を開始している。引き続き銀行共通基盤への統合を進めていくとともに、ストレージについても、APEXの「Data Storage Services」の活用を検討しているという。
ニュースリリースURL
https://www.dell.com/ja-jp/blog/paypay-dell-apex/