PLiBOTは、AIマニュアル自動作成・共有サービス「ManualForce」を採用した。11月12日、ManualForceを提供するOrange Moonが発表した。多様なロボットや産業機器を扱う中で課題となっていた取扱説明やシステム設定手順の標準化を目的にManualForceを導入。マニュアル作成工数を大幅に削減したほか、現場からの問い合わせ対応を減らし、業務中断の抑制にもつながっている。
同社は、ゼネコン大手の大林組のグループ企業であり、人とロボットが協働する社会の実現を目指している。清掃や搬送など十数社のメーカーのロボット製品を取り扱い、顧客の産業機械・設備機器と連携・制御・管理するシステムを提供している。
多様な機器の仕様や現場ごとのカスタマイズが必要なため、専門的な要素が多く、業務が標準化されていない状況が課題だった。特に輸入機器のマニュアルは独自に翻訳・要約し作成していたが、マニュアル内の情報が多岐にわたり専門性が高すぎるため、必要な情報にたどり着くまでに手間がかかっていた。その結果、電話などによる問い合わせが発生し、他の業務が中断されることに不安を感じていた。
こうした背景から、業務効率化と情報共有の最適化を目的に、マニュアル自動作成・共有サービスManualForceの採用を決定した。ManualForceはPC上の操作を自動で記録しマニュアル化できるサービスであり、AI技術を活用することでマニュアル作成や検索の工数を削減できる。
ManualForceの導入により、マニュアル作成工数を大幅に削減できた。画面操作を自動で記録しながら手順書を生成できるため、教育や引継ぎもスムーズになった。アプリケーションの設定やUI操作といったPC業務の標準化が進んだ結果、問い合わせ対応や他の業務が中断される場面が減少した。
また、作成したマニュアルをQRコード化して共有することで、現場からも即座にアクセスできる仕組みを実現。これにより、作業者や顧客が必要な情報に迷わずたどり着けるようになり、問い合わせ対応の減少と業務中断の抑制につながっている。体感としては、複数人に手順を直接教えるよりもマニュアルを作成する方が工数は少なく、業務効率化を実感している。たとえば、通常30分ほどのサポートが必要な業務も、45分かけてマニュアルを作成・共有することで、2人に展開した時点で効率化が図れる。
ManualForceの導入プロジェクトをリードした技術本部ソリューション技術部の西村和也氏は、「情報はあるが、使えるまでが遠いという課題を抱えていた。ManualForce導入により、アプリケーション設定やUI操作などPC業務の標準化が進み、問い合わせ対応や業務中断が減った。実際の作業を進めながら自動でマニュアルを作成できる点は非常に便利で、日々助かっている。今後は、より専門的な領域でもManualForceを活用し、ロボットなどの先端技術との相乗効果で、業務の標準化と知識共有をさらに加速させていきたい」と話している。
PLiBOTは今後、あまり専門知識を必要としない領域から進めてきたManualForceの活用を、より専門的な領域へ広げていきたい考えだ。ロボットや産業機械領域の業務標準化を推進し、ManualForceを通じて現場知識の共有と「手順共有の民主化」を実現することで、人とロボットが協働する次世代の業務基盤づくりを加速していく方針だ。