セコム損保は、基幹システムをメインフレームから日立のプライベートクラウド「Hitachi Cloud」に移行し、新環境の構築を完了した。2024年11月7日、日立製作所が発表した。
近年、多くの企業が、メインフレーム上のプログラム肥大化やブラックボックス化によるシステム開発の費用増加、開発期間の長期化、デジタルトランスフォーメーション(DX)におけるデータ活用の制約、メインフレーム技術者の高齢化などの課題を抱えている。
セコム損保も、30年以上にわたりメインフレーム上で稼働してきた保険契約者情報などを管理する基幹システムにおいて、同様の課題を抱えていた。これらの課題を根本的に解決しDXを推進するため、次期システム構想を検討していた。その第一歩として、2021年10月に日立の支援のもとプライベートクラウドへのマイグレーションプロジェクトに着手した。
今回のマイグレーションでは、日立のマイグレーションサービスを活用し、効率的かつ安全・確実に移行した。日立のプログラム仕様可視化サービスを用い、メインフレーム上のプログラムの棚卸しを行い、不稼働プログラムなどを特定して、移行対象プログラムの規模を半分程度に削減した。また、移行性分析により、セコム損保の基幹システムのプログラム特性を考慮し、移行方法やツールの精度向上を図り、最適な移行作業を実施した。
移行後も、日立は新環境における24時間のシステム稼働監視を行い、セコム損保とともに業務影響を見極めながら即時対応を実施することで、約半年間安定稼働を実現した。
セコム損保は、今回の移行により、メインフレーム技術者の確保に関する課題解決に加え、クラウド環境を前提とした最新技術の活用やシステム拡張性向上などのメリットを得ることができた。これにより、保険商品開発時の保守性・迅速性やDX化の制約といった課題解決に向けて、現在検討中の次期システム構想を次の段階に進められるようになった。