タダノ、旧アーキテクチャ刷新で開発品質向上とリードタイム短縮を実現

2024年11月14日23:13|ニュースCaseHUB.News編集部
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 タダノは、ウルシステムズの支援を受け、新たな開発基盤・開発環境を構築した。ウルシステムズが2024年11月14日に発表した。

 タダノは1919年創業の世界最大級のクレーンメーカー。建設用クレーンや車両積載型クレーン、高所作業車などを製造・販売している。2024年2月にはクローラ高所作業車で国内トップシェアの長野工業をグループ化したほか、2024年9月には米国の建設機械会社マニテックス・インターナショナルの買収を発表するなど積極的な事業展開を図っている。また、高い技術力を活かして世界初のフル電動ラフテレーンクレーンを日本市場に導入するなど、環境負荷の少ない製品の拡充にも注力している。

 同社ではVB.NETや.NET Frameworkで構成する技術スタックを標準と定め、10年以上にわたり200以上の業務システムを開発・運用してきた。しかし、VB.NET や.NET Frameworkのメジャーアップデートが終了したことで、新たな進化が見込めなくなったほか、製品サポートの終了が課題となっていた。将来性の乏しい技術を使い続けることに対してエンジニアを動機付けることが難しく、市場全体での.NET経験者の減少もあって要員確保が困難になっていた。

 タダノは、開発基盤・開発環境のリニューアルに踏み切った。ウルシステムズは最新テクノロジーとエンタープライズシステムに関する知見を評価され、新たな開発基盤・開発環境の検討と同社開発メンバーのリスキリングのサポートを要請された。

 ウルシステムズでは、3段階のアプローチを提案・実行した。まず、システム要件との親和性や開発・運用に伴うコスト、スキル習得や人材調達の難易度、技術トレンドなどを踏まえ複数の開発言語やフレームワークを比較検討し、JavaおよびSpring FrameworkとTypeScriptを組み合わせた技術スタックを採用した。タダノでは一定規模以上のシステム開発を外部に委託しており、発注先の選択肢や保守の内製化などの観点でも上述のスタックが優れていると判断した。

 次に、第1段階で策定した開発基盤・開発環境を実際に整備した。また、タダノ社員へのスキルトランスファーも実施した。約1カ月間の講義で開発言語やフレームワーク、開発ツールの利用方法をレクチャーした後、2カ月間にわたってサンプルアプリケーションの開発を実施。ペアプログラミングや成果物レビュー、QA対応、勉強会などを通じてシステムを継続的に内製するための知識・スキルを移転した。

 最後に、第2段階で構築した開発基盤・開発環境を用いて実際の業務アプリケーションを開発し、実案件で適用可能であることを確認した。開発はタダノ社員が主体となって実施し、ウルシステムズは開発チームのサポートに徹した。PoC(概念実証)を通じてタダノ社員が独力でシステムを開発できることを確認し、PoCで実施した手順をもとに開発ガイドを執筆した。

 今回のプロジェクトを推進したICT部会計ソリューショングループマネジャーの松岡氏は「20年近く使用している旧アーキテクチャのモダナイゼーションの短期実現は特に既存メンバーのスキルコンバートの点で非常に難度が高い取り組みと考えていました。しかし、ウルシステムズの高い技術力や知見により、理想に近い形のアーキテクチャ構成を得ることができました。また、提供いただいた講習・資料・サポートにより短期間でのメンバーのスキルトランスファーも完遂させることができました。難しいプロジェクトを円滑に推進いただいたこと大変感謝しております」とコメントしている。

 今回のプロジェクトを通じてタダノの開発メンバーは、モダンな開発スキルを習得したほか、モチベーションを高めた。また、新たな開発基盤・開発環境を利用することでリードタイムの短縮や品質の向上といった成果が上がっている。タダノは今後、新しい開発基盤・開発環境を実開発プロジェクトに適用していく。 

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