ヤマハは全社的な意思決定と行動を変革するためのデータ戦略に、クラウド型データ活用プラットフォーム「Domo」を活用している。2024年12月2日、ドーモが発表した。
ヤマハは1887年の創業以来、音・音楽に関連する事業を中核としてきた。近年は急速なデジタル化の加速で、人々の生活様式や音楽へのかかわり方が変化している。そのため、現在のビジネス・事業環境を正しく理解する必要性が高まり、2019年にDX戦略委員会を設置した。そして「意思決定・行動のためのデータ戦略」を打ち立て、全社員が同じデータと指標に基づいて判断、行動できる環境を整えてきた。全社的なデータの展開を見据え、意思決定プロセスを支援するツールとしてDomoの活用を始めた。
情報システム部DX戦略グループは、全社的に意思決定と行動を変革するため、データ戦略で重要となる社内における「データによる認識合わせ」を実施。具体的には、意思決定に必要なデータの定義・統合、意思決定に至る思考プロセスをDomoのダッシュボードで再現、意思決定の最適化(BI/AI連携)の3つに取り組んだ。
意思決定に必要なデータの定義・統合では、社内データに加え、社内データの妥当性を測るエビデンスとして社外のデータもDomoに統合した。特に市場環境が急速に変化する中、WebやSNSで得られるものを含めた、人を起点としたリアルタイムデータをDomoで可視化した。さらに、市場把握、競合把握、財務状況把握、非財務状況把握などの目的別に、膨大なデータ群をDomoのダッシュボードで体系化し、ビジネス環境が激変する中でも迅速に意思決定ができるように整備した。
意思決定に至る思考プロセスをDomoのダッシュボードで再現するため、ロジカルシンキング(論理的に物事をブレークダウンすること) 、ラテラルシンキング(結果に至るプロセスを多角的に考えること)3、クリティカルシンキング(前提条件、状況を疑うこと)という思考の3つのプロセスを、Domoのさまざまな機能を使いシームレスに切り替えられるようにした。たとえば、ロジカルシンキングにはフィルターの条件の絞り込みやプルダウンを使ったブレークダウンを活用した。
ラテラルシンキングにはグラフやテーブルを横にレイアウトして異なるデータの比較が容易にできるようにしている。Domoの同一ページ内に関連する前提条件を集約させ、即時に確認できるように内包したため、視線を変えることなく視点を瞬時に切り替えられ、思考を止めずに意思決定ができる。
意思決定の最適化(BI/AI連携)では、意思決定の種類と最適なソリューションを区分し、BI化に適しているものと、適していないものに分類した。可視化して判断しやすくなるものや統合して判断しやすくなるものはBI化に適している。一方で、膨大なデータの収集を伴うものや複雑なデータ加工を伴うもの、情報の収集が目的ではなく要約した情報が欲しい場合は生成AIを活用している。
具体的には、Domoで出した競合分析結果をより深く知りたいときに、社内のビジネスアナリストの知見を活かした生成AIプロンプトをDomoのタブに用意し、そこからダイレクトに要約を得られるように構築している。 このように「BIとAIを掛け合わせる」ことで、ビジネス環境が急速に変化する状況の中でも、より迅速に、より簡単に課題を把握できる仕組みを整えている。
「データによる認識合わせ」以外にもデータ戦略として、「DX教育による視点合わせ」や「組織を超えて意識を合わせるコミュニティ活動」を連携して行っている。今後の新たな課題に対しても、3つを連動させて持続可能な意思決定の仕組みとして定着化を図っていく。