旭化成ファーマは、「Microsoft Power Platform」を活用したアプリケーション開発の内製化で、アバナードが提供する時間課金制の伴走型支援サービス「Avanade Flexible Support」を採用し、複数の業務で生産性や顧客満足度の向上を実現した。12月16日、アバナードが発表した。
旭化成グループは、グループ全体でデジタル人材を育成する方針を掲げ、社員向けに教育コンテンツのプラットフォームを整備してきた。しかし、グループ全体を対象とした施策だけでは、グループ内でデジタルテクノロジーを活用した業務改革が十分に拡大していかないという課題があった。こうした背景から、旭化成ファーマは独自の施策として、業務部門などの社員がPower Platformを活用してアプリケーションを内製し、業務課題を解決する「市民開発」に取り組み始めたという。
市民開発のパートナー選定では、アバナードがAvanade Flexible Supportによるトレーニングを提案。「課題に沿った柔軟な提案で、最もコンサルティングの要素を備えていた」ことを評価し、採用を決めたとしている。
旭化成ファーマは、2023年2月から12月まで、3クールにわたってアバナードの支援を受けた。複数の部門から約40人が通常業務と並行してトレーニングを受講。プログラムは、Power Platformの初級者・中級者向けトレーニングと個別の相談会の2種類に大別され、初級者向けにはアバナードが用意したコンテンツを利用し、中級者向けコンテンツは両社で協議しながら新たに作成した。
この期間の成果としては、支店での利用を想定した「電話連絡アプリ」を開発した。電話を受けた人が該当する資材を登録すると、営業担当者にメールが自動で送信され、対応履歴やステータス管理ができる。このアプリは実際に現場で利用しており、事務担当者の省力化や作業ミスの軽減、対応スピードの向上による顧客満足度の向上などにつながった。ほかにも複数のアプリを開発し、中には20時間から最大1200時間程度の工数削減効果が見込まれるものもあったという。
同社は一連の取り組みがデジタル人材の育成や内製開発のノウハウ、実績の蓄積につながったと見ている。さらに、グループ内で成果を発信することで「グループ全体の市民開発の取り組みの底上げに寄与できた」としている。