関西電力送配電は、発電側課金制度への対応を目的に「invoiceAgent」と「SVF Cloud」を採用した。帳票クラウドを提供するウイングアーク1stが4月30日に発表した。
関西電力送配電は、近畿地方と一部北陸地方に電力を供給する一般送配電事業者だ。2024年4月から始まった発電側課金制度により、従来は100社程度の小売電気事業者に対する託送料金請求だけで済んでいたが、新たに2,000件を超える発電事業者にも請求書を送付しなければならなくなった。さらに、一般家庭の発電事業者向けインボイスにも対応する必要が生じ、全帳票のリニューアルが不可避となった。制度開始まで1年を切る中、短期間で新たな託送料金請求システムの開発が求められた。
同社は、インボイス制度と電子帳簿保存法への対応、制度開始までの納期厳守、予算内での開発という3点を重視し、ソリューションを選定した。その結果、電子帳票プラットフォームinvoiceAgentと、帳票設計クラウドサービスSVF Cloudの導入を決めた。invoiceAgentは、企業間の帳票のやり取りをデジタル化し、基幹システムと連携してバックオフィス業務の効率化を図るプラットフォーム。将来的な請求書のWeb配信も視野に入れ、Web配信機能を備えている点が評価された。
新しい請求業務では従来と異なる項目が必要となるため、既存帳票フォーマットの流用が難しく、帳票の全面リニューアルが求められた。そこで、30年にわたる帳票開発実績を持つSVFシリーズのクラウド版であるSVF Cloudも合わせて採用し、短期間でのシステム開発に着手した。
システム開発は、業務システム開発未経験の若手社員が担当したが、SVF Cloudを活用し必要項目を盛り込んだ帳票を作成。託送システムから出力される顧客情報のCSVファイルを、インターフェースモジュール「Universal Connect/X」で分解し、帳票データとして出力できるよう整備した。帳票設計ファイルをinvoiceAgentに組み込むことで、発電事業者ごとに正確な情報を差し込んだインボイス請求書を郵送またはWeb配信できる仕組みを構築した。
開発と並行して、請求書発行に必要な顧客情報管理部門との調整も行い、関連部署の業務負担増加を考慮しつつ、必要なデータを適切に出力できる体制を整えた。システム開発はウイングアークの担当者によるオンラインサポートや迅速な問い合わせ対応を活用し、SVF Cloudの帳票開発を1ヶ月、Universal Connect/Xのデータ取込設定やinvoiceAgentの発行設定などを2ヶ月で完了させ、合計3ヶ月で新システムの開発を終えた。
短期間での開発成功の要因について、担当者は「ウイングアークの対応の早さに助けられた」と述べている。問い合わせには翌日には回答があり、サポートのスピード感が開発の推進力となった。また、帳票開発・データ連携・請求システムをすべてウイングアーク製品で統一したことで、問い合わせ窓口が一本化され、問題解決が迅速に進んだ点も大きなメリットとなった。
制度開始直後は発電事業者からの問い合わせや郵送宛先不明などの混乱が見られたが、現在はほぼ問題なく運用できている。今後は効率化・ペーパーレス化の促進に向け、請求書のWeb配信比率を高めるべく発電事業者への訴求を強化し、より一層の電力安定供給に取り組む。
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