ソニー銀行、勘定系システム刷新で商品・サービスの提供力と業務効率を強化

2025年5月7日22:22|ニュースCaseHUB.News編集部
x
hatebu

 ソニー銀行は、新たな商品・サービスの迅速な提供などを目的に「Fujitsu Core Banking xBank」を基盤とした新勘定系システムを採用した。5月7日、同ソリューションを提供する富士通が発表した。

 近年、金融業界ではデジタル化の進展に伴い、顧客ニーズの多様化と競争の激化が顕著となっている。デジタルバンキング分野では、利便性やスピード感が顧客満足度に直結し、競争優位性の確保には経営戦略とIT戦略の一体化が不可欠となっている。こうした事業環境の下、銀行システムの中核となる勘定系システムにも、変化に柔軟かつ迅速に対応できるアーキテクチャが求められていた。

 ソニー銀行は、開業以来のシステムパートナーである富士通とともに、開発生産性の向上や業務効率化、データ基盤の整備を目指し、従来の勘定系システムを全面刷新した。新システムは、AWS上にクラウドネイティブな形で構築され、マイクロサービスやBFF(Backend for Frontend)などの先進的なアーキテクチャを採用した。これらにより、ビジネス環境の変化に応じた最適なシステムリソースの活用と、柔軟な機能拡張が可能となった。

 同行では、2011年から段階的にクラウドシフトを進めてきた。AWSのセキュリティ基準適合性や豊富な機能、責任共有モデルの明確さを評価し、2013年から業務システムのクラウド移行を開始。2019年末には全システムの約80%がAWS上で稼働していた。今回の勘定系刷新で、同行が管理するほぼ全てのシステムがクラウドに統合された。

20250507_sonyB.png
次世代デジタルバンキングシステムの全体像

 システム選定理由としては、拡張性・柔軟性の高いクラウドネイティブアーキテクチャの実現、AWSのマネージドサービスによる運用負荷の低減、マルチリージョン構成による高可用性・災害対策、API連携による外部サービスとの柔軟な接続性などが挙げられる。特に勘定系業務に不可欠なACID特性を担保する独自のマイクロサービス実装により、プログラム資産規模を従来比40%に削減し、保守や追加開発の効率化も期待されている。

 導入プロセスでは、AWS Well-Architected Frameworkやプロフェッショナルサービスを活用し、運用・セキュリティ・信頼性・コストなど多角的な観点から設計を評価した。移行準備や本番移行後の運用体制強化にもAWSの専門サービスを活用し、万全の体制で本番稼働に移行した。アプリケーション開発ではCI/CDパイプラインを構築し、機能拡張や新サービスのリリースを短期間かつ高頻度で実現できる体制を整えた。

 導入効果としては、商品・サービスの迅速な提供や既存機能の柔軟な改良、業務効率化、インフラコストの削減、インフラ調達・構築期間の短縮、高可用性・災害対策の強化などが挙げられる。また、Open APIやAWS PrivateLinkを活用した外部サービスとの連携強化により、FinTechやWeb3、生成AIなど新技術の導入も柔軟に進められる環境が整った。

 ソニー銀行は「クラウドネイティブとしてAWS上でシステム構築を行うことで、クラウドサービスを利用する企業との連携強化が図れる環境も整った。今後も独自性のある商品・サービスを、スピード感を持って提供し、顧客の期待を超える満足と感動を届けていく」としている。今後は、グループ各社や外部パートナーとの連携をさらに強化し、先進的なデジタルバンキングサービスの拡充を進める方針だ。

ニュースリリース


#SonyBank #CoreBanking #CloudNative #AWS #Fujitsu #DigitalBanking #Microservices #FinancialIT #BankingTransformation