パナソニック エレクトリックワークス社は、顧客接点の強化と顧客LTV(生涯価値)の最大化を目的に「建設業顧客データベース(Construction Customer Database)」を開発した。5月27日、同システムの開発を支援したフレクトが発表した。
同社は住宅、オフィス、ホテル、商業施設、スポーツ施設など多様な「くらしの空間」に向け電気設備事業を展開している。近年、グループ全体で顧客との関係を深化させることが重要課題となっていたが、グループ内で顧客情報が分散し、営業活動の非効率や情報共有の不足が顕在化していた。特に、異なる部門やグループ会社が同じ顧客に個別でアプローチすることで、受注競合や安値競争が発生するなどの問題があった。
こうした背景から、グループ内の顧客情報を一元管理する共通データベースの構築に着手した。建設業顧客データベースは、グループ各社で導入しているSalesforce CRM間のデータをAPI連携基盤「MuleSoft」を活用して統合する。MuleSoft選定の理由には、APIを階層化してシステム連携を迅速に開発できる点、Salesforceとの親和性が高く既存システムとの効率的な連携が可能な点などがある。
ベンダー選定にあたり、4社にRFI(情報提供依頼書)を提出し、2社からRFP(提案依頼書)の回答を受けた。MuleSoft導入が初めてであったため、同製品に関する豊富な実績と知見を持つフレクトをパートナーに選定した。フレクトは、プロジェクトの初期段階から将来の拡張まで見据えた提案を行い、Salesforce連携に関する知見と、システム障害発生時の迅速な対応力、課題特定・問題提起の的確さが評価された。
導入は現場主導のボトムアップ型で進行し、現場の納得感を重視した。グループ各社間で密なコミュニケーションを図り、担当者同士が一体となり業務負荷の軽減や合意形成に努めたことが、プロジェクトの成功要因となっている。
システム稼働後は、数十万社規模の取引先情報や案件情報が一元管理され、グループ各社の営業活動や案件情報がリアルタイムで検索可能となった。これにより、現場調査・提案・受注までのリードタイムが短縮し、営業効率が大幅に改善された。また、グループ全体で情報を可視化することで、従来は見送っていた案件も新たなビジネスチャンスとして捉えられるようになった。APIコール数も順調に増加し、情報連携の活発化が進んでいる。
今後は、グループ内の連携範囲をさらに拡大し、基幹システムとの連携やAIエージェント「Agentforce」活用におけるデータ連携も視野に入れている。
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