広島県と鳥取県、防災システム共同運用で災害対応を迅速化 県境を越えた連携強化

2025年8月28日16:07|ニュースCaseHUB.News編集部
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 広島県と鳥取県は、県境を越えた円滑な災害対応を目的に「広島県・鳥取県共同運用型防災情報システム」を構築し、4月1日から運用を開始した。8月27日、システム構築を支援した日本IBMが発表した。全国初となる都道府県の共同運用型システムで、行政側の情報収集や意思決定を迅速化するとともに、県民の迅速な避難行動を支援する。

 日本は自然災害が多く、近年は異常気象による被害の激甚化も続いている。従来の防災情報システムは各自治体での利用を前提としており、被害が複数の県にまたがるような広域災害が発生した際に、組織の垣根を越えた対応が取りにくい課題があった。県境を越えても円滑な応援・受援体制を構築するため、全国で初めて複数の県で共同運用可能な防災情報システムの構築に至った。

 新システムは、日本IBMのパッケージソリューションである「IBM災害対応情報システム」を基に構築された。デジタル庁のデザインシステムを踏まえ、防災情報システム向けにカスタマイズしたUI/UX(ユーザー・インタフェース/ユーザー・エクスペリエンス)を取り入れ、初めて利用する職員でも直感的に操作できる分かりやすさを重視したデザインを採用した。これにより、災害対応の現場における情報収集と意思決定の迅速化を支援する。

 また、県民向けのポータルサイトも「広島県防災Web」と「鳥取県防災Web」としてリニューアルした。従来は各種災害情報の発信が中心だったが、住民が即座に取るべき避難行動を直感的に理解できるよう導線設計を見直した。これにより、有事の際に県民が迅速に避難できるよう支援する。

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広島県・鳥取県共同運用型防災情報システムのイメージ

 システム基盤には、IBM災害対応情報システムに加え、複数のソリューションを組み合わせている。災害対応時に手作業で作成していたExcel帳票の出力を自動化するため、デジタル・インフォメーション・テクノロジーのExcel業務イノベーションプラットフォーム「xoBlos」を採用した。さらに、県民向けの防災情報を配信するメール通知サービスでは、ラクスライトクラウドの高速メール配信基盤「blastengine」を活用し、メールの到達率を向上させ、重要な情報を確実に県民へ届けられる体制を整えた。

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